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前田純一 blog

2010.06.30

男木島にて

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平地のない男木島・人口200





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「6月23日 現地検証・男木島豊玉姫神社にて」

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今年二月鎌倉の長野ヒデ子さんから瀬戸内国際芸術祭への手伝いの打診をいただいていた
「海の復権」とタイトルしたこの祭りは、瀬戸内海の7つの島を舞台とし、17の国からの参加アーティスト・プロジェクト数75といったかなり大がかりな現代社会へのレジスタンスといった趣となっている。
高松の建築家、渡辺昭さんが代表して80倍の審査をくぐりぬけた「島こころ椅子」と名付けたプロジェクトのメンバーは伊藤洋さんを除いて全員元気な六十才と七十才代。テーマは壊れかけている地球、失われていく家族・ともだち・地域、そして椅子だったのだが、それが僕の人生のテーマとも重なっていて考えた末お手伝いをさせて頂くことになった

元来アートとは、複数の人間が会議を重ねて作るものではないと僕は思っていて、上下関係のないプロジェクトの人間関係は難しく煩わしい。しかし過疎の三城に通じる瀬戸内の離島へ脚を運ぶうちに親しくなった島に暮らす人びとや、プロジェクトの仲間とのあたたかな関わり通じて人生の楽しさ、奥深さを考えるよい機会をいただくことになった
ほんとうの発展とは?、ボランティアって?、そして自然と人間と環境への問いかけ。現在開催準備後半に突入、普段の作品作りとは違った僕の貴重な体験となっている



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男木島「島こころ椅子」プロジェクト制作関係者

伊藤洋        (家具作家)
鎌田豊成  (造形アーティスト)
内藤三重子 (造形アーティスト・エッセイスト)
長野ヒデ子 (絵本作家)
前田純一  (工芸家)
渡辺 昭    (建築家)
(50音順)
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(地元制作関係者)
来春卒業する最後の男木中学校生徒3人
男木島に住まう方々
子えび隊(地元ボランティア)
友人達

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「痕跡・男木島に暮らした人びと」

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2010.06.21

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季節柄差し込み式の部品を本体にとりつけて蚊帳をつけることにした


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「6ミリの鉄を鍛造して弾力を持たせた支柱と真鍮の取り付け部品」



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「早川久美子さん・藤原 茜さん」

東急ハンズがない松本では、小間物や縫い物素材は楽しいトーカイと決めている。客は手仕事大好き若いお母さんがほとんど。僕などないものねだりの、ヘンなじいさんと映っていることだろう。いずれにしてもふだんの仕事場にはない可愛いらしい素材が店内に溢れている

このようなときの頼みの綱は縫い物達人早川、今年春から工房へ来た茜さんにも手を貸してもらうことになった。
 色が自然で風をよく通すと目論み手に入れたチュールは破けやすいことが判明、再度トーカイで丈夫なものを買い直したり、縫い進むうちたちはだかる疑問に、まつればいいんじゃない?とかプリーツを仮縫いすれば?、展開図を描けばいいんじゃない、、だとか僕にはわけのわからない言葉が飛び出し簡単に考えていた蚊帳制作はただならぬ難しいことがらを数多く含んでいたのが判明した



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ふわっと素敵になどというのはまさにに絵に描いたモチで、隙間が出来て蚊が入る、しわがよる、軽すぎておもりが必要、なまがね交差バイアステープの切り口がきたないなど問題続出。結局再度トーカイへ走ってもらいYKKだの、パッチワーク用色違い生地、失敗して足りなくなったバイアステープなどを入手しなんとか完成にこぎつける。とにもかくにもふだん偉そう小生、彼女達の前にかたなしなのだった・感謝感謝


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「縫製開始3日目、いよいよ佳境」





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「娘が可愛がったディックブルーノを手に入れ家内からプレゼント」


そんなこんなで、ともかく6月14日 なんとか発送にこぎつけた







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2010.06.20

works_子供の家具_ちこのゆりかご_2_工業と工芸

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「自製固定具」

あて台には固定できない作品制作のために大きなGクランプを改造して制作

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制作資料_ちこのゆりかご01.jpg上部と下部の大きさが違う柱状体を四方転(よほうころび)と呼び三面図には実寸が表れないので展開図を描いて制作を進めます。転び角度75度/15度は重力の理にかなう角度で椅子の背もたれの基本角度になっています。接合部の転びは4度弱になります
工業的なものと工芸的なものの形状はことなり、よくできた工芸品や骨董をよくみると全体がベジェ曲線で構成されているのが解ります。このラインはものを空に放った時の軌跡の形から放物線ともいわれ、日本では「てり」と呼ばれて伝統的な日本刀や鳥居などのかたちに表れていて、美術では機械的なアールを痩せたあるいは貧相なライン、ベジェ曲線を豊かなラインなどと例えて言い表します。洗練された江戸指物には細身で豊かなラインが存在しますが、「華奢」とは、余分がそぎ落とされていて、ふくよかで、きらりと華やかなたたずまいといったところでしょうか?
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「Rで表す同じ曲率の機械的な曲線と放物線」
矢印の位置に張りがあります

上面木端、手掛かりの楕円、面取りのラインは特に重要で、伝統の中で培われてきたお茶道具の棗などにみられるよどみのない美しいかたちは、常に曲率が変化する自然界の放物線で構成されています




  
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手掛かりの形(左)
上から「機械的な要素(直方体と半円)の組み合わせで構成された形」、「CADに備わっている楕円形状」、張りの位置を変えて手が入りやすくした実施形状

面取りの形(右)
左から「厚みと同じR値の断面」、「小さいRを両端にとった断面」、「ベジェ形状の断面」

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手掛かり部の加工手順と仕上

このような抜いた形の面取りを内面取りを呼び、かたちと共に加工の難しい仕事の一つです
 1_型紙制作、2_型紙を使い型制作、3_型で墨つけ、4_ジグソーで荒取り、5_トリマーで成形、6_小刀による仕上げ、7_磨きの手順で進行します
面取りビットの加工で荒れた表面を水拭きして蘇らせ、繰り小刀で成形し、楕円断面のあて木を使いペーパーで仕上ると木は生き生きと姿を変えて作品に命が宿ってくるのですが、この仕上がりが醸し出す印象や雰囲気が工芸品か否かの審査基準となり、機械に出来ない手仕事の醍醐味といえます



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「手掛かりの仕上げとあて木」




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「おだまき」2010梅雨の庭で

2010.06.15

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「チュールのついたクレードル」

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木に囲まれて育つべきである、、と僕は思っていて嫁のおなかが目立ち始めると僕のアタマにさまざまなゆりかごのスケッチが浮かんだが、ゆりかごで育つ10月までは蚊帳が必要だろう、暑くてぐずったら揺すってやりたいと思ったのは母親の胸でそのように育てられた記憶からである

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「オミグルミの養生」 2010年3月

8分に挽き、捻れぬよう治具を拵え5枚まとめてプレスすることにした。立てて乾燥室へ入れたのはより自然で水分が移動しやすいからである。室温30〜35度、毎朝ナットを廻してみると二ヶ月で締まらなくなった。ボルトのネジピッチから計算すると一枚当たりの厚みが4、5ミリ縮んだことになる
当初は日本らしい杉板の香りの漂うスケッチだったが、タイムリーに手に入ったこの樹をどうしても使ってみたくなり、少々乱暴な乾燥の試みはせっかちな江戸っ子気質なのかもしれない
長野の鎌倉材木店三代目が持っていた東北の径二尺オニグルミはサワグルミに比べ緻密で、指物的な軽やかな手取りのよさに向き、しかも柔らかな杉のように扱いに不要な気を使わせない。子供が乱暴に扱っても材に含まれる自然のオイルが将来よい古美に作品を育て上げるだろう。
それにしても西洋でウオルナットと呼ばれて親しまれている胡桃が日本で伝統的に使われてこなかったのはなぜだろうか? 楢や胡桃がもっていた昭和の時代のバタ臭いと表現された感覚が、古来杉や檜の素木を愛した国民性にそぐなわなかったのかもしれない。しかし過去の西洋は、僕の感性のなかでも日本の伝統として変容している

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「ぬめ革を貼った鉄のロッキング」

土に接する革の木口に生漆を吸い込ませ、ミンクオイルを擦り込み防水性を高めて堅牢に作ってある。秋に彼女は身長65センチほどに育ち、この箱はすぐに着替えかおむつ入れかおもちゃ箱になるのだが、鉄製ロッキングは錆びて美しく、嫁にでもかんたんに取り外すことが出来て、床に接する棒材の面取りは伝統的な「タタミズリ」という形をしていて傷になっても魅力を失わない
ちこは本物に触れ、家族の気配と、樹と土の匂いを嗅ぎながら大切な時を過ごし、いつか揺する立場になるかもしれない。あるいはコンピュータ制御のゆりかごが出現するのかもしれないのだが、愛と美というものに寿命はないと信じたい。そうすればこのゆりかごは永遠に彼女の心の中に生き続けてくれることだろう

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「れんげつつじ」2010年 初夏の庭

2010.06.02

建築家_宮坂直志のデビュー作「松本源池・路地のある家」

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「宮坂直志君・5月30日のN邸オープンハウスで」

直志オープンハウス02.jpg「玄関ホール」
山の辺建築設計事務所を主宰する直志君のデビュー作品は28坪のコンパクトな二世代住宅。正面の大きな窓からの光が建具仕舞いを考えて生かした小さな壁の凹凸や、微妙に変化させた天井に陰影を生んでやわらかく室内を浮かび上がらせていました

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松本中町・トキシラズの蔵改修内装工事、コモ庄内・伊勢の園の焙じ茶製造室、とユニークに経験を積んできた直志君のデビュー作品「路地のある家」を見たとき、音楽に例えれば辻井伸行さんのラヴェルかもしれないと思った
そぎ落とされた本物素材、自然への敬意、光と陰影によるやわらかな室内、華やかと初々しさ、そして間合い。新鮮で技巧に走らない高貴なひたむきな心に溢れていたのです

ドア金物、トイレまでの夜間用ダイオード誘導灯など、ささいな金物まで行き届き、てらいなく洗練されている。それでいて、前庭にしつらえた石製骨董かいば桶(かって農村で使われていたもの。庭師、花岡君、宮下君が入手してながくあたためていた) が、現代的な建築を受容して田舎のよさを香しく匂わせ、工場のようにシンプル、軒のないキュービックな外観を支える室内外壁の漆喰塗りは、代々続いている白澤君の仕事で雨仕舞も信頼性に満ちています

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「見学の方々に振る舞った飲み物」

周辺地域に湧く名水は城下町が形成される以前から飲用水として使われ、天保14年刊行の「善光寺道名所図会」に「当国第一の名水」と記述されていて、所有者だった小笠原家臣の河辺与三衛門源池の名から「源池の井戸」呼ばれるようになったそうです。
松本市美術館裏手、「山がた」のそばが旨いのも水温12度のこの水のお陰、気取らない江戸下町風天丼セットはぼくたち皆大ファン。現在も清浄な水が溢れ、遠方からこの水を求める人や周辺の方々を潤しています


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「変形敷地に合わせて無理のない変化が生まれた玄関ホールと居間の接続部分」

下駄箱(靴箱?でしょうね)の戸は、木曽アルテック製、漆塗りの和紙張り、
アトリエM4が制作したお年寄りにやさしいハンドルは、フラットバーと信州産 「はり槐(にせあかしや)」を組み合わせ、鉄を赤めて絹で黒める日本の伝統綿色仕上げをほどこしてあります

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見学会一両日は好天に恵まれて偶然来られたご縁の方々が多く大にぎわい、、自然と人を大切にしていて明るい直志君の人柄がしのばれます。東京から駆けつけた和設計時代の同僚、渡辺さん、地元、青柳さんが会場の案内をお手伝いしていました



直志オープンハウス10.jpg若夫婦寝室の大きな突き出し窓は華奢と機能金物を追求している富山のキマド株式会社製、窓下に、かって松本中心部に引かれて市民に愛された湧水がさわやかな音をたてています

鍛造アルミの照明は前田大作の作品、巾広の厚み40ミリの立派なカナダ杉床材は林友ハウス工業の竹腰さんが探してくれました。やわらかな厚板は本来断熱材で裸足にあたたかく地球にやさしい。このような本物は20年ぐらい経つと輝きだして真価を発揮します

直志オープンハウス12.jpg久しぶりにお会いした青柳さんのお嬢ちゃんは二年生、渡辺さん(旧姓田所美帆さん)は東京で子育て中。初孫を授かった家内と、気持ちのよいキッチンで楽しそうに井戸端会議です


直志オープンハウス04.jpgアトリエM4も特製キッチンシンク、照明、手摺り金物、作りつけ家具造作等をお手伝い、間に合わないんじゃない、、と老婆心小生も楢の自然木テーブルを削りました
直志君のフィアンセ郁子さんもかいがいしくお手伝いです

直志君はじめ、日本の伝統を若者らしい感性で表現するローテク・ハイセンス職人仲間「卯の会」は、松本に移住した当時からの、息子達地元の同級生がメンバー、当日はいい仕事をやり遂げたといったさわやかな笑顔が印象的でした。
その日、静岡にいる弟子石川真帆さんがお施主さんと結婚すると聞いてびっくり、人のつながりを噛みしめた一日となったのです


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