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2008.11.11

スタンドのついた灰皿

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街で煙草を吸うことは不可能になったが、

これをぶらさげ庭に出て、構想を練る時間は

僕にとってはかけがえのないひとときである

伏せた帽子のような形を打ち出すのには鉄パイプを使う。内ズミがきりっと整い、平らな銅板が手跡を残して、静寂の中の鎚音に従い、みるみると生き生きとした曲線に生まれ変わっていく。

黒錆で仕上げたスタンド部分には、そのころ覚えた真鍮に銀を溶かして被せるリングを着けて手掛かりとしたが、年月を重ね、侘びた鉄の黒色と、銀の輝きが対照していて美しい。

煙草を消すための凸凹は、渦巻きを銅線でつくり銀で溶着して、赤い銅と銀のコラボレーションを楽しんだ。


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このころ僕も製図にCADを使いはじめた。

今までの職人の勘仕事を、数値に置き換えるのが新鮮で楽しく、3D空間は三面図ではわからない部分を示唆しているが、頭の中はモーター音が伴奏するディスプレイ上の疑似空間におきかわり、製図は理性だけが先行する作業へと変化した。

コンピューターを使い、設計や伝達手段は便利なものとなったが、デザインは暗黙知ともいわれて感性が優先する。やはり経験値や勘がものをいって ビールでもやりながら夢を見る方が僕には合っている。素材と話ながら夢がかたちとなり、手の内に掴んだ瞬間の感動は昔ながらで機械からは得がたい。

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