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2008.11.14

加飾_鍛造アルミへの叩き込み(はめこみ)象嵌(ぞうがん)

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指南帳_金工_叩き込み象嵌13.jpg
「鍛造アルミ 真鍮の飾りの付いた硯台」
「楓材摺漆仕上蓋の丸硯」 「筋鑢文様金箔仕上筆置」

器体に装飾することを「加飾」と呼びます。
よい器体によくできた加飾が施された実用品は、品格や美を備えた工芸品です。


象嵌とは器体に異素材を嵌め込み装飾とする技法で、木工にもあります。ギターのフレットには貝の象嵌が目印になっていて伝統的な装飾になっています。

「叩き込み」は、正式な呼び名ではないかも知れませんが、嵌め込む金属を叩いて延ばし、簡単にははずれないようにテーパー加工した器体の木口(穴の切り口)に押し込む技法で、伝統的な布目象嵌模様もよく観察すると同じ原理を応用しています。

加飾には、張り付けた模様もありますが、叩き込みは乱暴に扱っても強靱で、無垢素材は表面を削り取ってメンテナンスをしても再び装飾が現れます。

しかしそればかりではなく、使われた時間が野ざらしの石仏のような美を作品に加味し、日本人の侘びさびを良しとした感性、骨董の美はこのことをいうのかと思われます



指南帳_金工_叩き込み象嵌18.jpgかしめる原理の説明


鑢(やすり)による削り合わせ、槌を正確に打つ勘。象嵌のかたち、大きさ、余白、触覚など人の優れた感性が要求されるこの仕事は、失敗すると物理的な機能を持たない無意味で野暮なかざりとなります



指南帳_金工_叩き込み象嵌05 1.jpg

「工程説明」

指南帳_金工_叩き込み象嵌02.jpg指南帳_金工_叩き込み象嵌07.jpg指南帳_金工_叩き込み象嵌09.jpg

指南帳_金工_叩き込み象嵌03.jpg

「使用する鎚」


指南帳_金工_叩き込み象嵌17.jpg

銅を嵌込み、古美を硫黄(ムトウハップ)でつけますが、

錆びない金属と錆びる金属の特性を生かし、自然をデザインにしたものです


指南帳_金工_叩き込み象嵌14.jpg象嵌材には金、銀、真鍮、銅など伸びやすい金属を使います



works_文房具_鍛造アルミと紫檀のペンボックス07.jpg

「嵌込象嵌の蓋のペンボックス・2005年」



指南帳_金工_叩き込み象嵌15.jpg指南帳_金工_叩き込み象嵌16.jpg

「脚部のかしめ部分」


溶銀仕上の真鍮球で脚部を制作し、かしめた脚部

(かしめ技法はからくりとも呼んで、同じ原理を利用しています)



水に強くて汚れたら洗えること、熱に強いこと、伸びること、曲がること、叩くと素材特性が変化することは木にはない金属の特性です。
この作品はそのような特性いかして、盆栽の台、テーブルセンター、コーヒーポットの台、土瓶しき、鍋敷、趣味の煙草パイプの台など様々に使われていますが、素材の特質を生かすことができると、機能に付随した用途が広がってさまざまなデザインソースが生まれてくるのです。

子供の仕事や素人の仕事には、はっとさせられる美を備えたものがあって感動しますが「よくできた・・」とは、経験値に基づいた確かな技術と、時間の審査に叶うことのできる美、その双方を備えているもの・・といった意味あいです

指南帳_金工_叩き込み象嵌12.jpg



美しいものは「そこにある」だけでいい。

そのような心理機能が作品に備わっていることが工芸品とよばれる所以で、貧乏を愉しみに変えてしまう特技を持ち合わせることが出来る人の手と、長持ちするものをつくりたい良心の働きによって生まれたものは、人の心に働きかけるもの、絵画や彫刻と同じ存在となります。


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