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指物師の道具箱_小鉋・豆鉋

2009.09.01

寸法録_小鉋_立刃寸五のきさげ鉋

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「きさげ鉋」1995年



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台鉋(台に刃を仕込んだ鉋)は、割って製材出来る目の通った樹木がなくなり、欅などの雑木を使うようになってそれまでのやりがんなでは間に合わず、必要が出た縦挽のこぎり大鋸(おが)とともに逆目を止めるために平安末期ごろに生まれたものと推測されていて、江戸時代の医者がまとめた和漢三才図会という百科事典にはさまざまな当時の職人の様子が美しい日本画で描かれています
そのなかに描かれている台鉋には今では消えている棒が台の両木端に差し込んであって、この棒をつかんで現在とは逆に押して削っていたともいわれています
 ところが正倉院にはすでに紫檀、黒檀、鉄刀木といった唐木(からき・唐から渡ってきた木)を使った木工芸品や指物で作られた欅の厨子があってつじつまが合わない
奈良時代以前にはすでに朝鮮から職人と共にこんな鉋が日本に渡って来ていたのではないだろうか、、紫檀を使った作品製作のために1995年に作ったこの鉋を手にとり奈良時代に思いを馳せるとサンドペーパーぎらいな僕は優雅な気分になります



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現在売られている台鉋は仕込み角度が38度と90度のものが一般的ですが、削り角度は何度でもよく、例えば難しい杉の木口や革用の30度以下に仕込んだ鉋があります

切削角度(仕込み角)は53度を境に、それより寝ている場合は逆目が起こらないように二枚刃で作り、起きている場合は一枚刃でよいと考え、90度になると削るというより「こそぐ」といったスクレパー的感覚ですが、金属の仕事ではきしゃげるといって「きしゃげ・きさげ」という道具を使った個性的で無駄のない伝統仕上がありますのでこの鉋に名前をつけるとしたら「きさげ鉋」などというと的を得てステキかも知れません

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「超硬刃のきしゃげ」

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立刃寸五のきさげ鉋は、父が「タテハ」と呼んでいた台直し鉋を参考に、銀などのきしゃげには少し甘めの刃が具合がいいことから95度の逆勾配で仕込んだ小鉋で、それによりくいつきが甘く、材料に鉋がひっかっかる感じがありません。寸五とは刃巾が一寸五分=45ミリぐらいという意です




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「仕込み角度と刃先角度」



仕込み角と刃先角には密接な関係があり、刃は鋭角になるほど切れ味がよく摩耗しやすく、材に逆目が起きやすく、鈍角になるほど切れ味が悪く逆目が起きづらく長切れします
このことから立てて刃を仕込み、硬くて53度でも逆目の止まらない紫檀や鉄刀木などの唐木やヴェンゲ、刃先を摩耗させる成分を持つチーク、加えて砂気の付いてしまった鉋下端やボンドのついたあて台をこの鉋は調子よく仕上げます

息子の作っている鰹節削りに使う鉋は、逆に寝かせて刃を仕込むことによって切れ味を優先し、硬い鰹節を削っても切れ味が落ちないように摩耗しにくいHSS鋼を使用して、台鉋の弱点をカバーするよう工夫しています
正倉院に残る木工藝品は一体どのようにして作られたのでしょうか?
素晴らしい伝統を引き継いできた日本の道具台鉋の原理をよく理解し、とらわれずにHSS鋼や超硬刃物などの新しい素材を生かすことが、新しい道具と作品の創作に結びつきます

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データ作成・早川久美子


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