2009.10.02
works_筥 箱_作品M_栃材彫嵌飾筥
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「栃材蝋拭仕上Mの彫嵌の飾筥」
2000年和光個展「ともに年を重ねていく家具」出品作品
みなとみらい長女蔵 (由縁・この年、彼等の結婚記念)
18cm 13.5cm 高さ6cm

「由縁」栃杢老樹材、前田、みなとみらいのMをモチーフとした象嵌をほどこした彫抜の蓋には遠くに父と南斎がいて、合口覆輪に紫檀材を結界意匠にした指物の身を取り合わせて密鑞で仕上げた作品この年は長女の結婚と個展で構想にあたふたしたのがよき思い出で、作品Mの由縁となっています
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「象嵌・ぞうがん、彫嵌・ちょうがん」について
象嵌とは作者の心象を象った異素材を意匠とする飛鳥時代から伝わる伝統技法です。作る動機は絵画などと同じ美しいものごとへの憧れです
金工に施した布目象嵌がルーツでさまざまな技法があり、この作品の象嵌は母材を彫りこみ嵌め込むことから「彫嵌・ちょうがん」と呼びます「飾筥」について
箱は「筥 筺 函」と書き表し、硯、煙草など、大切なものを保護する機能から生まれますが、美しい素材と意匠、構成のバランス、卓越した技法が落ち度なく完成された作品は仕舞うという機能を離れて心に訴える装飾品となります。
工芸の世界でこういった作品を「飾筥」といい慣わし、厨子は宗教に関わらず、それらが集大成された筥と僕は定義しています

前田のイニシャルと信州の山を見立て象ったMを意匠にした象嵌材は、一辺12mmほどの真鍮を削りだし金箔張で仕上げ、彫り込んだ栃の木に埋め込みます
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「蓋の抉り・しゃくり」

このような甲盛り(蓋上面を盛り上がらすかたち)のない蓋は見かけ板厚を厚く作り、重くならぬよう身とのバランスを整えながら裏側を大胆にしゃくります。頂点部分は極限まで薄くぜいにくを取り去り、周辺になるに従いきれいな曲線で徐々に厚く作り込むのが飾筥の作法ですそれにしてもなぜこんな面倒をするかというと七五三に則っての美意識というほかありませんが、僕達の欲求はよく考えてみると不思議なことです
「しゃくり」
粗彫り > 中仕上 > 仕上げの間、特に栃の木は大きく動きますので安定するまで乾燥室に数度寝かせて豆鉋で最終仕上げに入ります。削りは材料を見るのではなく水平に近い光線を当てて影を追っていきます
上中央は蓋裏隅部の仕上げに使うサンドペーパー仕上げの曲面状のあて木で2mmのゴムを貼ってあるものです。写真のようにまわりに切り込みをいれるとペーパーがうまく馴染みますまた乾燥室中の素材はボンドなどで木口に割れ止めの養生をします・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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「修行中の息子」2000年

仕事は師から教わるモノでなく盗むものとよくいわれますが、僕は感動することだと思っています
手伝いをさせていただくとみるみるうちに今までなかった形が師の手から出現する
技術も美術も医術も、およそ術の付く仕事は理性だけで真似の出来ない忍術(爆)といえて、美しい樹やかたちや蓄積された技術に接してハートを躍らす感動の蓄積が新しい仕事への目標をもった独特なエネルギーとなるそれで伝統は技術の伝承だけに終わることなく、新たな創作へ結びついていくものと思うのです
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「参考資料・前田南斎作 四季草花彫嵌飾棚」遠山記念館蔵

四季の草花を美しく象った、木内省古の銀、貝類の象嵌が内部にも施されています



