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切り抜きから / 若者たち

2009.12.21

若者たち_信濃毎日新聞2009年12月掲載記事

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若者に自立していく姿をみせてもらえると、僕もこの仕事を続けてきてよかったと思います

昔から 「ものでもひとでもほんものは10年ひとふし」 お陰様でよい年末をいただきました


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「会ってみたいモノつくるひと」木工芸 前田大作さん(上)
信濃毎日新聞_2009年12月17日
聞き手・北沢房子


諏訪市の宮坂醸造アンテナショップ「セラ真澄」のディレクター宮坂公美さんが、江戸指物師の4代目、前田大作さん(33)を紹介してくれました。信州の木にこだわり、信州の美しさを表現しながら、新しい感覚を取り入れた作品を手掛けているそうです。美ヶ原高原に近い、松本市入山辺の前田さんの工房を訪ねました。

 「うちは、江戸指物という木工の伝統技法を受け継ぐ家でして」と、前田さんは折り目正しく丁寧な言葉遣いで話し始めた。

 江戸指物は、釘を使わず木の板を差し合わせて家具や調度品を組み立てる。すっきりとした仕上がりだが、ほぞと呼ばれる板の合わせ目の加工など、見えない所に手間ひまかけて轍密な細工を施しているのが特徴で、江戸っ子の気質と美意識が作り出したものという。
 そんな仕事をする工房が、美ヶ原高原に向かう山道の先、森の中の開拓地にある。
 「曾祖父は東京の京橋に工房を構えていましたが、都市化が進んで職人がものを作る環境ではなくなって、祖父と父の代に鎌倉に移り、さらに25年前に一家でここに引っ越してきました」。父・純一さん(61)が原野を切り開いて工房を造るのを、小学3年生だった前田さんは、わくわくしながら手伝った。
小さい時から自然に家業を継ぐものと擦り込まれ、納品に連れられていっては「4代目」と可愛がられ、迷いはなかった。大学でデザインを学び、オフィス家具メーカーで2年ほど働いた後、父に弟子入り。父は師匠に、母は師匠の奥さんになり、厳しい内弟子暮らしで修行した。「親子だからこそ、よけい厳しい所もありますし、初めは相当ぎくしやくして、母ははらはらしていたと思います」

最初の難関は飽の扱いだ。
買ってきた飽を使いやすい道具に仕立て、きちんと刃がとげるようになるまでに一般的には3年から5年。「木によって刃の立て方を変えるんです。それが分かってくると面白い。僕は小さい時に父がやっているのを見ていて、音が耳に入っていますから、『もう少しうまくいくはずだ』と目標があるんです」
 前田さんは、伝統的な物作りを教えてもらうには、徒弟制度が適しているという。「技術は時間を積み重ねればうまくなりますが、物作りの最終目標や木にどう向き合うかなど、寝食を共にしてようやく身についていく精神性があると思います」
 弟子入りして約10年。言われたことをするのが精いっぱいだったのが、4、5年前から独り立ちし、自分の頭で考えられるようになった。伝統の技で現代の暮らしに合った物作りをし、古来の豊かな生活文化を伝えようとする試みは、次回の話としよう。



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「三城で時を刻んだ弟子達」

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「会ってみたいモノつくるひと」木工芸 前田大作さん(下)
信濃毎日新聞_2009年12月25日
聞き手・北沢房子

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 江戸指物という木工の伝統技法を受け継ぐ前田大作さんは、最近鰹節削りを作っている。
 「小さい時、鰹節を削って母の所へ持っていくのが僕の役割でした。ある世代以上の方は、皆さん楽しそうな顔で同様におっしゃる。でも、僕より少し下の世代から、『何これ』となるんです」
 こういう道具が世の中にあり、これで鰹節を削るとおいしい。そんな暮らし方もいいのではと言いたくなった。
 「現代の生活で、家に置きたくなるような削り器を作らないと、鰹節を削るという行為を消してしまうとの危機感もあります」。昔ながらの物を今の暮らしに合わせて作り、そこに付随している文化や豊かな暮らしを伝えていくのが、職人の役目と感じる。
 今、着物箪笥を作るのも楽しい。「着物を着る方が増えていますが、しまう場所がないんですね。マンション住まいに昔ながらの桐箪笥は合わないです」
 木目が美しい栗材を使ったシンプルモダンな着物箪笥に、着物好きが目を輝かせる。
「今の時代にこういう物が欲しい、という人のための物が作れるかどうかが、工芸の本質だと思います」
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 指物は組み合わせの文化だ。引き出しの内側を桐で作って湿気を逃がしやすくし、外側は樽や桑などの固い木で抑えるといった適材適所の発想がある。最近積極的に使うようになったのが信州カラマツだ。割れたりそったりと評判は芳しくないものの、問題を克服する研究も進んだ。
赤みを帯びたつややかな肌のカラマツは「本当にきれいな木だから使いたいと思っています」。使い道が広がれば間伐につながり、信州の木を生かし、森を守ることにもなる
 前田さんは、箪笥の金物も自ら作る。手ごろな値段でいい金物を作ってくれる職人がいなくなってきたためだ。机や椅子の足に鉄を使ったり、アルミや真鍮で細工もする。
「金属を組み合わせるのは指物の世界で当たり前のこと。木だけでなく、最も適した素材を選ぶことで、物作りが合理的にできるようになってきます」
 2年前に株式会社「アトリエm4」を立ち上げた。m4とは前田家の4代目。「会社組織をつくって、父のお弟子さんだった人たちとのネットワークをつくっていくことで、工芸が未来に残っていく道があると思います」。伝統工芸にとって厳しい時代に、1人でできなくても、何人かが集まればできることもある。
 「僕の代でつぶすというのだけは恥ずかしい。m5になってもらわないと困るんです」



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「昼休み」 2009年冬


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