2013.06.20
鎌倉K邸_水屋の制作
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幼なじみのCさんとは父同士が東京宝町時代からのおつきあい、大切にされているいかにも鎌倉らしい古いお住まいには「ちび庵」と名付けられた小間があり2011年に水屋制作のお話をいただきました
伝統は破って新しく作り出すものと無頼漢にも僕は茶道具を敬遠気味に生きてきましたが、とらわれずに自由に日常のお茶をたのしみたいとのご意向に加え、中心となる水屋棚は父が工房兼住まいを東京から移した1970年当時、僕が会社を辞めて弟子について初めて命じられた鎌倉の新居のための制作だったという思いで深いリクエストです
制作などとはおこがましく、父の描いた図面の難しい骨組み手番をさせていただいただけなのですが、 無駄がなく目にもとまらない父の手さばきにドキドキしながら見習った電動工具のない時代の手作業、すこし厚い(コンマなんミリです・笑)などと指摘をいただいて一年以上もたもたやっていたのではないでしょうか?
構成がものをいう日本の飾棚の制作には、筥とともに優れた美的要素が必要ですが、厳しい師匠は気長に僕の幼稚な仕事を見守り、今の僕に取り得があるとすればこの時に身についたものと師匠の大きな優しさがようやく身にしみるこのごろ、厳しさからしか生まれない時を超えた美しいものの誕生に関わることができた幸運の感謝と偉大な日本の伝統のおもしろさをみなおしています

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