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指物師の道具箱1_鉋 小鉋 豆鉋

2013.07.23

「龍」1 弟子入り時の鉋刃

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当時は師のお古の使い頃となった鉋を頂いて修行を始めるのが習わしで、僕は寸六、寸八、長台三丁をあてがわれて父の仕事を見習いました。鉋台がよく乾燥して動きが止まっていて初心者に都合がよい上、このことは刃や台の形や面取りなどの雰囲気から家風と流儀を体得することとなりました。その後三城移住を境に今までの制作にはその後大量生産されるようになったハイス鋼の鉋刃を使ってきました。昨年までもう鉋を新調することはないと思っていましたが、お気に入りがちびて使うことにしたこの刃は、会社を辞めて弟子についた当時父が別格として、いまに仕込むだろうかと僕にあてがった鉋刃、花ともとれる「龍」です。(だと思ってきましたがご存じの方がいらしたらお教え下さい メール  j-maeda@fb3.so-net.ne.jp )

当時名品とされた鉋刃千代鶴が切れないといって父が手に入れたこの刃の醸し出す気品と格調高い銘と材に吸い付くような切れ味は僕の仕事の目標になっていたのですが(千代鶴は削る刃ではなく神棚に供えるものといわれていましたし、贋作もあったと思われます)、切れ味だけを云々すれば市販の鉋刃で十分、しかし鍛冶を天職として人間が一生を投じたという出来事、どのような気持でこの刃を打ったのだろうかと当時の工人の心に思いを馳せ、頭を下げて今夏から使わせていただくことにします。いま手がけているチーク材のミュージックキャビネットと、どちらも鉋がけの難素材、杉水屋白太から先の制作はこの刃で仕上げようと思っています

13072711.jpg世界的に優れているといわれる日本の刃物の最大の特徴は、釜地とよばれる軟鋼の土台と鋼素材を工人がそれぞれ独特に工夫を重ねて鍛造時に硼砂で接着している点で、このことを「合わせハガネ」と呼び、研ぎに労力と時間を費やさない難しい「裏スキ」は刃物が砥石に吸い付いてサッと軽く研ぐことができ、貴重な砥石を無駄に減らすことのない独特の知恵です。
また八寸とは仕込み勾配(鉋台に仕込まれた刃の切刃の角度)が八分 / 37〜38度のことをいいますが刃の巾は6.5cmから6.8cmぐらい、加えて(ややこしいですが)合わせ鉋とは逆目をとめるために考え出された二枚刃の鉋のことをいい、主刃と裏刃を一対に仕込んだ鉋で一説には飛鳥時代から伝わる伝統手工具とされていますが、合わせるとはまるで互いの欠点と長所を補い合う夫婦家族のようだと実に日本的表現ですね
 
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