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切り抜きから

2016.02.21

私の半生⑥

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母方の実家は、震災後の質屋業で成功を収め裕福だったので、母達の時代は夏になるとトラックで家財道具を運び、鎌倉や逗子の一軒家を借りて一家で海水浴をしたり花火をして過ごしていたそうです。母は三味線の名取でしたが、僕は長唄とモノ悲しいような三味線の音色が苦手で、その頃日本にお目見えしたエレキギターに夢中になり、チャビーチェッカーやリトルリチャードなど、黎明期のロックンロールが得意でした。夢に見るほどフェンダーのギターが欲しくなり、ある夏休み、親の目を盗んで泊まりがけで地方のダンス教室へアルバイトに行きました。少しのお金をポケットに、夜行電車でおずおずと東京駅へ戻ると、誰もいない薄暗い改札口にポツンと母親が待っていたのです。家までの道のり、エレキギターをかついだ僕と並んで涙ぐんで歩く母親は一言も口をききませんでした。エレキは不良という時代で、以来僕はエレキギターとお別れしたのです06_160126.jpg


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