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指南帳_木工

2014.05.10

「木材の話」「砥石の話」関野聖雲 昭和16年

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素材やスタイルや工具が西欧化しても、僕たちは日本の樹と刃物と砥石に大きな敬意と誇りと愛着をもって仕事をしています。関野先生は、父保三が木彫の教えをこうた東京美術学校の恩師で僕が預かっている砥石は関野先生がお使いになり、腕を見込まれた父が譲り受けて愛用した銘品です。この小文は僕が生まれる十年近く前につくられた関野聖雲作品集のあとがきですが、断言は経験を得た確かな自信なくてあり得ません。優れた工人の熱意と探求心が端的で僕のような時代に生きる若僧などはまだまだ、といった思いがします、爆汗

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木材の話>>google+

砥石の話>>google+

2013.08.06

「龍」3 平鉋寸八_研ぎ

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13080600.jpg刃物の研ぎは荒研ぎ→中研ぎ→仕上研ぎの順に進めます。台鉋は材料と刃の角度(切削角)が固定されているので通常仕上研ぎ角度=33度(仕込角度マイナス5度)になりますが手が角度を覚えるまでは薄い金属板で定規をつくり、ときどき研ぎ角度を確認します。
僕は刃先線をカマボコ形の曲線に研ぎますが曲線の度合いは直線に近い方から一番(0.3ミリぐらい)、二番、最も曲率が大きい四番(0.6ミリぐらい)と呼んでいてそれぞれのアールが鉋痕仕上げを生みます

大きな平鉋、寸六寸八用の砥石は荒研ぎ、中研ぎ、切刃の仕上げに人造砥石、刃裏の仕上げに天然砥石を使い、刃物の切断と研削、砥石の切断と整形には砥石又はダイヤモンドカッターを取り付けたハンドグラインダー(電動工具)を使います。人造砥石は弟子入り当時から40年ずっとKING製が定番でしたが、3年ほど前から研ぎおろしが速く、摩耗と持ちのバランスのよいナニワ砥石製セラミックワークストーンの#120#1000#3000を気に入って使っています。仕上げ砥は通常6000とされますが#3000はハイス鋼も素早くよく仕上げます


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2009.10.28

一枚のみずなら_初音さんの勉強机

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「磨く」


松本市城東に中野さんのお住まい和音堂が完成したのは五年前、古い町にとけ込む簡素な町屋建築は源池設計室の初めての松本でのお仕事である。
幼かった初音ちゃんは当時から伐りたてだった一枚のみずならの樹と過ごしてすっかりいいお嬢さんに成長し来春清水中学校へ入学されるが、ほんものの素材を使った建築はよい住み味が出はじめて、時を経てすっかり動きが止まったみずならは装いを新たに彼女と共に再び時を刻み始めることとなる

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「仕上がったので納めにうかがいます」と僕の仕事は一段落しますが、ほんとうは長い時間をかけて樹という素材に加工する人使う人が協力しながら 「いい味になった、いい人間味がでてきた」 などといとおしんだり愉しみながら修繕したり作り替えたりして、古びること、侘びる錆びることでものを作り上げ、そして大切にされてきたものものに人は育まれてきたのですが、これは樹に命があるとしてきた和の意識で、美しく老いるとはこのことではないでしょうか。
それを骨董のような味わい、美しく育った仕上がった、などどいいますが、それにはほんものであることが条件で歴史が刻む傷はありがたい宝物です




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「砥草」


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砥草の芯を小刀でそぎ、板やゴムやスポンジに貼ります

父の代まで工房の道具は使い古したゆかたや布巾の木綿や麻、わたいれと呼んでいた古いちゃんちゃんこの真綿や和装小物の絹糸、砥草、椋や欅の葉、カルカヤ、馬のしっぽ、松ヤニ、いぼたろう、椿や胡桃の実、米ぬか、古炭・炭灰、燃え残った和ろうそく、卵の殻、飲み終わったお茶の葉、最後は手のひら・笑、とすべて自然物
勿体ない、再利用が当たりまえで廃棄しても土に還って循環する。父は刃物に油綿など使わず髪の油をひいていました(危険ですから若輩者は真似をしてはいけません・汗)
サンドペーパーを使うことが現代の木工の基準となったのは削りとることと、磨くこと研ぐことを混同して効率を優先した文明のたどった道ですが、概して昔のもののほうが美しかったという事実はどのような理由からでしょうか

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『幸田文しつけ帖・みがくつきあい』より転載
(白川先生からいただく)

ペン.gifまず身と蓋をはなして、陰干しにし、風を通したあと、みご等で杢目なりにそっと払う。気長に何日もかけて、軽く払い払いした。かなりましな肌になる。古木綿をかたく絞って、あっさりと撫でる。かわいたままの例のくたくたわらで拭う。わらをあてると、おやと思うほど木の肌に生気がついた。これでもまだ荒れの納まりきらない部分には、むくの葉をかけて摺った。仕上げは裁縫用の象牙のへらで、うすく杢目をたてた。水を使ったのは雑巾を絞った時の一度だけ、石鹸もみがき粉も灰も一切使わなかった。桐はもの柔らかな材、この箱ほもう年寄、老いの身に水ぶっかけられたり、力ずくなことをされれば、死ぬよりはかなかろう、という。だから私は下駄の歯入れやさんにお祝儀をするようになった。父の足駄は繁柾なので、いい柾だから磨いときました、とおじさんはいう。桐との付合いは万事やわらか仕上げである。

 家具には堅い材のものもある。けやきの書きもの机、紫檀の食卓、煙草盆、桑の用箪笥など。これらとの付合いは、ただひたすら古手拭を用いていたが、将棋盤などに艶布巾を使うこともあった。艶布巾はもとパイプのブライヤみがき用とかきいたこともあるが、不確かである。生活用品にも、農具大工道具の柄によく堅木が使われていたが、私に最も面白く思われたものは鰹節飽だった。受箱は桐だが、飽は大工道具のあがりで、かしの台。このかしの木の、いつも鰹節にこすられる部分が、なんとも潤沢微妙な色合照り具合でうつくしい。切れ味がいいと鰹節のはうも、桜色で光る。これを磨くといえるかどうか。またどちらが磨き、磨かれたのか。世の中には魚油や獣油でものを磨くことはあるだろうが、飽の台木と鰹節の付合いを見たことはうれしい。
 台所には木製のものが多くて、毎度よく磨く。おはち、鍋釜のふた、米とぎ桶、手桶水桶洗桶、狙板、しやもじ、摺粉木、その他いろいろ。それに付合う道具があった。かるかや束子、踪相束子、藁束子、ささら、これらはどこの家の流しもとにも備えられており、使い分けたのである。硬軟ともに植物製だが、私が多く使ったのは藁で、わら束子は自分でこしらえた。
 紙やすり、さめ皮、とくさ、むくの菓、いぼたのろう、松やに、椿の実、ぼろ木綿、性抜けの麻布、萎え綿などを道具にして、女たちは家庭内の木との付合いを、なんとかこなしていった。
もちろん自分の手は一番の道具だったし、地から湧く水、空を吹通る風、天から来る熱などなども利用させてもらいはしたが、よくまあこんな貧弱な手立でしのげたものだと思う。いうならば当時の木との付合いは、重宝していますのお礼心を下敷にした、介抱とか介護とかいうところだったかと考える。以上はあくまで当時の家庭一般に行なわれていた、木との付合い常識である。

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091028初音ちゃんの勉強机05.jpg「ビーワックス」
蜂は樹の鑞を集めて巣を作りますので、蜂蜜を採ったあとの蜂の巣を煮て鑞をとりだしました


素木(しらき) では使いづらいという場合に樹の油を染みこませ汚れから保護しますが、いぼたろう、ビーワックスなどは虫が集めた樹の鑞分で、植物のものはなんとも気持のよいものです
健康のために、地球のためにと化学塗料は使わないとようやく意識されるようになってきましたが、樹の輝きは塗膜が光るのではなくつぎつぎと現れる木肌が発するもの、木工初心者は磨いて仕上げることと塗装することを混同しがちですが、はがれては困るお化粧と新陳代謝する素肌に例えるとわかりやすいかと思います。またこれは木工と漆工の区別結界ともいえます




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「初音さんの部屋・松本中野邸にて」
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封筒.gifミズナラの板はとても立派な仕上がりで、帰宅して見てびっくりしました。
もっと薄くなるかと覚悟していたのですが、さすが前田先生!!と、家族3人大変満足しております。
 机が広くなって、初音もたっぷりと勉強ができる・・・と思います。
本当にありがとうございました。末永く使わせていただきます。
季節の変わり目となりますので、風邪などひかぬようお体にお気をつけ下さい。
  2009.10.27 中野智史
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091028.jpg「ふきよせ」
2009年秋の庭で


2009.09.29

works_筥 箱_茶通箱(さつうばこ)

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「桐杢・桑材茶通箱」2008年

茶通箱(さつうばこ)は大切な茶をしまったりする箱で、これは桐杢材と桑材を使い、甲盛り(蓋を盛り上げるかたち)をほどこした印籠造(いんろうつくり)です


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箱の構造のうち、印籠造は別名・薬籠造・やろうつくりともよばれ、茶や薬が湿気ないように工夫された身と蓋がすきまなく合わさる構造で、合い口の立ち上がりをやろうとよびます

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このような華奢な箱は固めるときに中子が浮いたりゆがまないように注意しますが、僕は角に内側にマスキンゲテープを貼ったアルミアングルを使い、大きめの輪ゴムで締め、直角がくるわないようにのりが乾くまで内法に合わせた四角をはめておきます

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「仕上げ工程」

甲盛り、抉り、面取りに使う小鉋
豆際、豆平二種、豆内反鉋


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「仕上げ道具」
馬毛製うずくり 木賊・砥草(とくさ)スコッチブライト



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「和敬清寂」の清はせいぜいしいこと、寂は華美や騒々しいことがなく、しかも沈んでしまうほど地味でないことと僕は理解していますが、合い口部の桑薄板をさりげない意匠として水屋道具専用の箱にとらわれることのないよう留意しています

参考・茶道具は利休好みなど寸法の決まり事があり、廣瀬拙斎というひとのまとめた

寸法録 という本が昔から木工の辞典のようになっています

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2009.09.27

works_筥 箱_茶入の筥二種

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「楓材印籠造茶入筥」2007年・素木(しらき) 仕上 

器体を楓材、中子を桑で構成した印籠蓋(いんろうふた)の飾筥で製作直後の写真ですが、変化の浅い楓材に対して時代がつく(時間が経って色が濃く変化する)桑を対照的に使い、将来際だってくるコントラストを楽しむ意匠としています

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「楓材印籠造茶入筥」2007年・摺漆仕上

正方立方体は、余分のない寸法、甲盛り、神経のゆきとどいた繊細な面取り、底すき、てらいのない印象、箱にはじまり筥に終わるといわれる指物の基本とされています


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「甲盛り、面取りディテール」

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「木口台での仕上げ」

平面正方、どの方向へも蓋が納まるよう合わせます




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