2009.06.24
指南帳_鉋_豆平鉋の制作_鑢から作る溝鋸の制作_其の六
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前田純一様
火の色、鉄が赤く焼ける色!八時に焼き戻しが終了しました!合計三十本の鑢!何かの折に二三本送ります(焼き戻しした奴を)
焼き戻しで判ったのですが!鉄を赤く焼くにはカナリのバーナーのパワーが必要であると言う事が!
昼間ダンボールなどを被せている暇が無い事も判りました!
陽が落ちて暗くなってから鉄の色が判別できる状態で記録しなければ出来ないと言う事も分かりました!
予めカメラをセットしておき撮影し終わったら一気に焼入れに入る!
識別準備も完璧にしておかなければ混乱する事も判明しました!
一番の問題点は!鉄の色をどの様にしたら"オレンジ色"に持って行けるか!?!?!?!?今晩眠れそうも在りません!????!!!
一人で何でもするのは気が合って良いのですが!忙しくて上手く行くか心配です!
今日使った炉の写真を送ります!ご批評下さい!
酒井さんは真面目ですし!物を作ることに一途です!ファンが多いのも其のせいでしょう!貴重な人材です!前田さんのお友達は皆さんステキな方が沢山居られる!羨ましい限りです

「きれいに準備された坂本流焼き入れ道具」
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写真をありがとうございます
とてもきれいにとれていて様子がよくわかりましたが、わけても「フイゴ」は懐かしく、父もときどきこれを踏んで難しい顔をして刃物を作っていたのを思い出します
過日、ハイス鋼で轆轤鉋を作るのには、楢などの広葉樹の消し炭と、ふいごがよいという話を木曽の方に教えて頂きました
僕は昔、楢炭とブロアーで既製の蹄鉄を赤め、馬の蹄に合わせた憶えがありますが、酸素と混ぜて温度を上げるのは、米を薪で炊くときに団扇であおいだり火吹き竹で吹いたりするのと一緒で、「原点・火」とは一体なんなんだ、、と不思議な気分です。人は火を使うようになって猿から別れたんでしょうか? それにしても未だに原子力に悩んでいるわけですね
現在の工房では、プロパン/酸素のバーナー、アセチレン/酸素のバーナー二種を使っています。それぞれに火口の大きさ(ガスの流れる量)がありますので混合比の調節次第で安定した目的の温度の炎が得られ、仕事に集中出来るので大変楽をさせてもらっています。
つい最近の息子の話では、広い範囲の温度を均一に上げたい場合は大きなプロパンバーナ、銀蝋仕事など、狭い範囲の温度を集中的に上げたい場合は細いアセチレンバーナーがいいようだということです。発明した方に感謝しながらありがたく使わせて頂いていますが、爆発の危険を伴いますので細心の注意と免許も必要です。近代の機械工具類は、安定均一、誰にでも出来るといった効果を生みだし、かわりに僕達から仕事の誇りや個性を奪いましたが、簡単便利安価は心の危険も伴うもののようです
話は変わりますが、先日和光で貴兄もお目にかかった井尾さんのお父上は素晴らしい金属工芸品を後世に残した僕の父と同じ世代(といっても一世代ですが)の先輩で、そのお話によると金属に味のある錆を出すのは「こえだめ」のそばに何年も放置するのがよく、鉄をなますのは焚き火の中に何日もおくのがよいということです。
同じように樹の乾燥も十年単位ですが、こえだめが消え、焚き火禁止の条例が出てそんなことをしていては喰っていけない現代はいいものが生み出せませんし後世の文化財も残りません。僕達工芸家にとっても悲しい時代ですが、酒井さんも小椋さんも苦しみの中から素晴らしい作品をしぼり出します。美をめざして作家が懸命に生きるパワーなんでしょうが、ひょんなことから好きな仕事にぶつかりそのことで頭がいっぱい、探求心旺盛の貴兄老後はなんと幸せなことでしょうか? 樹のたとえ「脇芽もふらず、、」とはこのことでしょうね

僕のところには父祖の時代から工夫された技術とそれにより生まれ出た作品があり、学びながら家族と一緒に暮らしている純真な若者が数名います。
近代は化学肥料への置き換えや化学薬品の予防使用で健康被害が生まれ、樹木の大量消費で環境が破壊されてしまいました。コンクリートやプラスティックや新建材などの合成は、素材に均一性と造形や色の自由、価格に安価を生み出しましたが現代は考え直してみたいことがらなのかもしれません
僕の頭にこれからは父の頃のようにゆっくりとものづくりがしたいものという思いがよぎるのは昔の職人の作った美しい刃物を見るときなのですが、ここにいる若者たちが時代を切りひらいていってくれることを夢見ているのです












