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指南帳_木工

2009.06.17

指南帳_鉋_豆平鉋の制作_鑢から作る溝鋸の制作_其の二

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小さな畑_梅雨の庭_2009.jpg
「蕪の畑で」2009年梅雨




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坂本様

いよいよ鑢が手に入りましたね。写真を有難うございました よくとれていますね


実験には僕も立ち会いたいですが、結果を楽しみに待っています


いよいよ梅雨入りのようで、我が家のミニミニ畑も順調、カブの漬け物が楽しみです

それにつけても芝草類が種を実らせると梅雨になる彼等の賢さに毎年頭が下がります

ですから暇があれば(ありませんが)雑草を抜いていて梅雨入りが解りますので天気予報は不要です

カマキリは次シーズンの積雪高さを予測して、もぐらないスレスレに美しい卵を産み付けますが自然とはまったくたいしたもんです

僕に殺された雑草は次の年には豊かな養分を含んだ黒土に還って美しい樹木を育てます

僕らは樹木を頂戴しますので邪魔に思えた雑草にそのうち感謝するわけです

そういった働きをする養分を滋養というらしいですが、そんなものはわれわれは制作出来ませんナ



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前田純一様


プロパンとバーナーと断熱材と油が揃えば"出発進行です"楽しみにして下さい!

焼入れした鑢は一度そちらに送りますので吟味してみてください!

二十日の日に"なまし""形を成形"二十日中にコノ作業が出来れば"柄の部分焼き戻し"した物を送ります!

鑢って硬さを見てください!お願いいたします!

焼入れのときの"鉄の焼き色"はデーターを送りますのでナンバーと照合して下さい!


まだ出来ていないのに先走って興奮気味です!今晩、寝れるかな!?!?




追伸

蕪の漬物、美味いでしょうね、羨ましいです!

糠漬けをやってますが、材料が新鮮でないと漬かり方が良くありません!其の点前田さんの処は自家農園だから羨ましい限りです!

色々と漬けているのですが、ナスの漬物が美味く漬かりません!どうも鮮度の問題と、なすの大きさに左右されるように感じております!色々と八百屋さんを回って探していますが今のところ巡り合っておりません!遭遇するのを楽しみに探しております!此れも遊びの楽しさ!?!?!?!???




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いやあ、楽しみに待っています

金属ほどには性格が変化するなんてことは樹にはあり得ませんよ


しかし茄子はむずかしいですね

まず茄子紺ですが、みょうばん、錆釘などいろいろやってもどうも素材のような気がしています

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PS

梅雨の晴れ間_ひろ小場で01.jpg

ところで三城の県民の森には美ヶ原頂上への登山口「ひろ小場」というキャンプ地があります。秋からこの時期までは入る人もなく、賑わいも汚染もない静かな別天地なのですが人知れず熱心なファンがいて、湘南方面から来る60すぎの絵描きさんは一月も逗留するそうです

樹木の命が聞こえるような気がして僕はそこへ行く途中の羊歯の森が大好きなのですが、今日昼前覗いてきましたので写真を送ります

朽ちていく老木と新しい命の雄大な森、、自然は尊大ですね


梅雨の晴れ間_ひろ小場で03.jpg

「梅雨の晴れ間の羊歯の森で・1」
2009年初夏

梅雨の晴れ間_ひろ小場で02.jpg
「梅雨の晴れ間の羊歯の森で・2」
2009年初夏

2009.06.08

指南帳_鉋_工作少年とのメール

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指南帳_鉋_02.jpg
「収縮した台の仕立て直し」

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こちらも初夏から夏へとさわやかな季節を楽しんでいます

昨年株分けしたあやめ、とらのお、しらねあおい、いかりそう、みずひき、みやまおだまき、チゴユリ、ほうちゃくそう、くじゃくしだ、レンゲツツジなどなどもともとこの地にあった植物が増え、増える訳ない小生普通預金以上にうれしいことでした。(これはこの地を踏み荒らした贖罪であります)

それらを新しい荒れ地に移し僅か5メートルは緑が伸びたでしょうか? 庭造りは貴兄仰るとおりやはりあと25年はかかりそうですナ

カブ、春菊、辛み大根は双葉が無事開きましたが葉物の虫退治は煙草の吸い残しをバケツ水に溶かしたものが一番と地域ご老人に教わりました。そんなわけでますますやめられませんが煙草がなければ農薬散布となります。煙草の害と化学汚染とどちらが社会にいいんでしょうネ?都会の野菜はたべられませんナ・・

仕事の合間は草取りですが、ところで貴兄は雑草をなんと定義していらっしゃいますか?


さて、工作復帰おめでとうございます

工作のなかでも鉋はいちばん面白い

僕は小さい頃、細工場(仕事場)へ夜盗み入って父の鉋で内緒で削った覚えがあります

細工場へ子供は入れてもらえなかったので、父の留守が楽しみでお弟子さん達も黙認してくれていたいい思い出が残っていますが、父は見抜いていたでしょうね。鉋は命ですから・・


シメシメと削るとシュッという音と木の香りを嗅ぐだけで子供の胸が騒ぎましたが、「削ろう会」という鉋を楽しむ団体があるくらいで、鎌倉室町からもって、未だにいい大人が夢中になるのももっともな話です

僕も例外にもれず未だにやっておりますが、50年削ってようやく少しは解ったような感じがしますのでコツをお知らせします


指南帳_鉋_03.jpg



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前田純一様


昨日、漆の勉強のために欅を板に作りました、鉋がけをしましたら手のひらにマメが出来ました!柔な状態では良い物は出来ません!修行いたします!

今日、古い鉋の台を定規で診ましたら意外と狂っているのが判りました!立鉋で訂正しました!此れで良いのか判断できませんが使ってナンボですから都合が悪ければ訂正しなおします!


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鉋下端は下端定規のようなまっすぐな棒で真っ平らを勘でみるのですが、「なにに対して」真っ平らなのかがポイントです

削る相手のかたちは、むくりがあったり甲盛りがあったり箱の底のように凹面だったり、しなったり動いたり(僕の家では狂うとはいいません)するので、つまりは樹に合わせるということですが、逆に言えばその様に下端を作ると樹がそうなってくれると言えます・・つまり目的、作り出す形が下端です

難しくなりましたが実際には削る相手に鉋を当てて軽く回転させて回転の中心が刃口の台尻側直ぐ下(図参照)にあるように下端を調整するのがこつです


さてどうやって平らにするかですが、(僕は普通の鉋で削ります)立鉋で大体平らにしたあと厚いガラス板にサンドペーパーを貼ってその上で鉋を摺り合わせます

ガラスは5mm以上厚いほどよろしい、建築廃材現場にいけばきっといいものが手に入りますので長さは鉋の二三倍、巾は14cmほどに切ります

ガラスで手を切らないように角を丸めますが、砥石でらちがあかない場合は回転の遅いディスクグラインダーにガラス用のディスクをつけて丸めるとうまくいきます

かならず防護メガネをして下さい(もし昇降盤のような大型機械があればガラスよりベターです)


サンドペーパーはスコッチ製のロール状のもので裏にのりがついているものを使い、番手は#120か#180を使います

さてここからが大切です。

以上までは刃を痛めないよう少々引っ込めて手加減で平らにするのですが、いざ刃を使う状態まで刃を出すと鉋刃が表なじみを押して台頭下端が少々出っ張って刃を材料から浮かせて削れません、そのほんの僅かの出っ張っりをスクのですが、これは目で見てわかるほどのものではなく、立て鉋ではなかなかむづかしい仕事ですので、5cmX7.5cm厚み15mmぐらいの木っ端にサンドペーパーを貼ったものですり減らすとうまくいきます(他の方法がありますが次の機会で説明します)

しかしこの部分を不必要に低くしてしまうと削り終わりがガタつきますので注意が必要です


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刃も定規を当てますと刃に対して立ち上がりが直角でない事が判り鑢掛けいたしましたが此れも使ってナンボ!それから考えます!

欅の切り出しも、刃の調整も、豆鉋を作る準備を兼ねてやってます!ナカナカ鉋に到達できませんが!ここいら辺が楽しい所!何時になるか判りませんが頑張って造ります!

欅の切り出しで判ったのですが!材を垂直に保って電鋸で切り出すのにジグが必要である事がわかりました!段差が出来たり厚さが違ったり!訂正のために大変な労力が必要に成りますので少し考えてジグを造ろうと考えております!

次から次えと新しい問題が出てきます!素人はこまった者です

今日は正に初夏・・・・・・・・気持ちの良い一日でした!


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指南帳_鉋_01.jpg


鉋にもコツがいくつかありますが今回は簡単に説明しました

僕はこのごろ手段の目的化を大いに良しとしています。今後順次ご説明しますが疑問がありましたら言って下さい

鉋には迷信のような通説があり、うまく削れない人が多いのでブログにも載せようと思っています

それにしてもシンプルな道具ほど奥が深く楽しい、、日本の刃物は魅力がありますね


2009.06.01

指物師の道具箱_その他_油綿 弟子達_川上三恵子さん

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弟子達_川上三恵子 1.jpg
「必須項目・長台」20090521


指物・日本の引き出しには鉋がけが不可欠
今春から弟子入り川上三恵子さんは国立千葉大学院出身
本当の樹の仕事がしたくなり、五年間の家具工場勤務後工房で学んでいます



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道具 tool_油綿02.jpg
「油綿」




前田様

素敵な鋸の写真有難う御座います!鋼もナカナカの様子!それ以上に手入れの行き届いている様は見る者に爽やかさを感じさせるほどのステキさがあります!

真似事で始めてしまいましたが!一番気懸かりなのは"道具"の手入れ!

難しいですね!少しずつ覚える他ありませんからネ!

工作部屋にキャスター付きの整理棚を作りました!此れで漆を摺る時に充分掃除をしてから摺る事が出来ます!

何かを実行すると失敗・欠陥が出てきますので其の解決の為に何かをしなければ成らない!

忙しい事です!ナカナカ結論に到達出来ません!

シカシ、此れが楽しいのかもしれません!頑張って前進!

冬に向かって、排気ファンを新しく作り直さなければならないでしょう!?

部屋中木屑の埃ダラケを無くさないと綺麗な作品が生まれないと思いますので工夫して見ます!

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道具 tool_油綿01.jpg


S様

週末アルバイトをしながら休むこともなく難しい鉋を習っている弟子達は美しい
きたない仕事場からはたいしたものは生まれません

仕事部屋の排気は無断変速の「ナショナル有圧換気扇」のようなものがいいと思います超強力ですが超うるさい、しかしほこりがきれいになったらふんわり静かに換気することができます

さて、よく手入れが行き届いて日本刀のように研ぎ澄まされた刃物はなんとなくイイものですがこれは怖さかもしれません
手入れ用の油綿は、竹一節に木綿綿で作り、椿油を染みこませるのが一般的です
僕の場合は上部に凧糸を何回か巻いて割れ止めをした竹一節に、スーパーの金物市などで売っている鉄板油引きの中身スペアーを使い、CRCを染みこませています
凧糸は刃を当てても破れることがなく、とりかえも楽ですが、いろいろの竹の太さをこれに合わす必要があります
信州は竹の北限ですので、御地竹藪からそのうち一節お譲りいただきたいですが、古民家カヤブキ下地がみつかれば美しくていうことありません

油引きスペアーはよくできていてギュっと引っ張り入れるための糸を作ってありますので、それを通す二分ぐらいの穴を底になる節に空けておきます
椿油を使うというのが一般的ですが、木工の刃物の場合は油が厚く、粘るのでお勧めしません(椿油は台所用の刃物の手入れの習慣かも知れません)
CRCが分子内部に滲透して効果があることは、潮風ですぐ刃物が錆びる鎌倉時代に学びましたが、またミクロンに木をそぐときなど、ときどき油綿で刃先をなぞると木に吸い付いて気持ちよく仕事が出来ます

それにしても今まで手でやっていた事を機械がやるようになって、現代はますます忙しくなるのはどうしたことでしょうか。一見非効率な手工具ですが、コンピュータ仕掛けのオートマチックなんてものは儲かるだけで人の心を動かさないってことを僕は炭火で知りましたナ

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「早朝・冬越しほうれん草と川上」20090508

2008.12.16

製材_手前椅子から「 T chair 」 へ

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製材風景03.jpg
「タモの製材の思いで」2003年 南松本の製材所で

アルミの背の椅子_フューチャーの湾曲状に叩きだした背部と座板の結合部に支えをつけず、ステンレスの六角ボルトのみによるジョイントをスケッチしたのは極限余分を省いた構造の強度を試したかったのである。二次元同士が交わる三次元曲線上にボルトを配置すればまず抜けることはない予測だった。
実現に向けてテーパー製材を頼み製材士の手を煩わせたのは第一に樹が勿体ないからだが、台車は回転しないので一枚ごとに僕がつけるスミに正確に鋸を合わせる熟練製材士のめけん(目でみて見当をつける)にすべてがかかっている。
もっとも効率主義のアメリカではコンピューター制御全自動台車回転製材機があるのかも知れないが、日本人の木目に対する美意識は独特で、立っていた樹木の天地、元と末、筍状の中杢であればその片寄りや高さ、広がりや余白と分布を大切にする。
民族のもっている伝統には美の感性にも違いがあり挽くたびに基準面の再確認をしたい意識が働くので最新機械は意味が無いのだ。
この樹を世話して頂いた松本で歴史の長いT材木店は今秋廃業、共にこの製材所も廃業し、二本の巻き尺でミクロンを計ってしまう僕の大切な仕事仲間、三代目ガラス職人 A さんは跡継ぎが居ない

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「 ストーブの前で_4年目のフューチャー 」

ジョイントはデザインの生命線といえるが、ボルトだけで背を支えている
後部必要板厚と前部の極限の薄さが同居した独自のデザインとなった


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木には木ねじの原則を破り、M6長さ30ミリのステンレス金属用飾りボルトを木に埋め込むのはちょっとしたコツがいる。初めての仕事に自信を持つには数年の時間を必要とするのだが、独自のお気に入りの技法とデザインを生み出すのには、遊び心と冒険心と、熟練の仕事仲間が不可欠だった

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「オールドレッドオークの製材」2007年夏 林友穂高工場にて


スケッチ_椅子_手前椅子02.jpg

♬♬ 曲がりくねって癖のある樹の製材は楽しい ♬♬

勘で推理した通りの結果になる場合もあるが、むしろ思いもかけなかった木目が現れた瞬間のドキドキはらはらからのインスピレーションは以前の作品だったり、構想中のスケッチだったりで都市生活にはなかった僕の仕事の原点は大きな楽しみとなっている。



製材風景04.jpg
「栓の製材方針」2004年・松本市内で

かって3Kなどど蔑まれ仕事仲間が居なくなってしまう原因は、採算の合わない職人技の非効率。しかし現代は樹を人の都合で切りそろえ、大量に同じようなものばかり作りだして数年で捨ててしまう。
このことは子供の教育と同じくで、僕には空恐ろく思える


スケッチ_椅子_手前椅子01.jpg



製材風景01.jpg
「オールドレッドオークの年輪」

一年に1mmを刻んで1cmが十年、
この木はおそらく2メートルの直径があっただろうか
軽く柔らかく木肌は小味が利いていて美しい

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東京の木場ではすでに大きな丸太は製材しなくなって久しく、馴染み仕事仲間がつぎつぎと閉業することになって淋しい気持ちの慌ただしい師走の製材となった。
一生ものは代々の主義だが、今年から認識を新たにしたおじいさんおばあさんになっても飽きない作品作り・・これは嫁さん用の椅子にするのだ、これは曲がった座板のベンチにするのだと、僕にとっては来年へ向けての愉しい一日となった。



製材風景05.jpg
「地元山辺 A 製材所で」2004年夏

難しい注文をきいてくれ、御夫婦阿吽の呼吸で仕事をして頂いた





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