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指物師の道具箱1_鉋 小鉋 豆鉋

2009.10.13

指物師の道具箱_寸法録_小鉋_豆平鉋三種

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「豆平鉋・基本形」

最初に作る刃巾1寸強一枚刃の豆鉋基本形を含めて三種ある豆平鉋です
1と2は逆目が止まる仕込み角、3はねかせ刃で、逆目のない横削りや木口削りなど切れ味を優先する削りに使います。鉋身(刃)、1.3はハイス鋼、2はSKH鋼・ポータブルプレーナの刃で作ったものです

板は真っ平らに削るばかりでなく、箱の底はクルクルと回らないように凹面にすくのが上物の作法とされています
そのため鉋下端はすき加減に合わせて凸面に作り、その度合いにより豆平三種を使い分けます


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彫り込みが刃口に向かいテーパー状に拡げてあるのは有効削り巾を最大にするために贅肉を取りさった必然の美しい形で、美しい作品は美しい道具から生まれるものだと僕は思っています

2009.09.12

指物師の道具箱_補助楔を加えた脇鉋、溝底仕上

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左・脇鉋(ひふくら鉋)、右・溝底仕上げ

この鉋二種は伝統工芸展に出品していた頃作ったもので、その後機械の性能がよくなりましたので余程の仕事でないかぎり使うことは少なくなりました



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「溝底仕上」

鉋は鉋身(刃)を鉋台下端からに削り代だけ出るように固定するために断面が楔状の刃と樫の木の弾力を利用していますが、任意の位置で固定できない欠点を持っていて飾棚の引き戸がすべる下溝などは深さの調整が出来ません
それで刃を左右方向にも楔形状にして補助楔で刃を左方向へ押すことにより任意の位置で刃が止まるようにしました。台頭左部分の出っ張りが基準面に載ることで安定し、55度強に刃を仕込み逆目を止めています

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「脇鉋」


伝統の脇鉋を同じように補助楔を加えて改良したもので、板を差し込む溝の立ち上がりを削り、羽目板などの嵌めあいと角度を微調整する鉋で左右一対です

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鉋台の長さ15センチほど、指物の溝は巾が5ミリ程度、
そのため溝の中に入るようA、B部分をおとしてあります

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こうなると類を見ない鉋、こだわりのやまいこうもう・笑

木の建具がサッシになって鴨居や敷居を削る必要がなくなったように、指物の世界でも出番の少なくなった消えゆく道具・滅びの美学といえましょう・・汗



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「斑鳩の厨子_脇鉋による羽目板の微調整」
2009年夏

扉戸当たりを抉って(しゃくって・削りだすこと)いるため、羽目が外胴付きになっています
羽目内側は金箔仕上げで、組みあげ後に塗ることがありません。そのためほぞが隙間なくきれいに納まるよう脇鉋で合わせます


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「寸法録_脇鉋 ひふくら鉋」
(刃はハイス鋼です)

2009.09.07

寸法録_小鉋_決メ面取り

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切面(きりめん・45度におとす面)は指物のかたちの重要な構成要素で、割合が適切な面取りはうつくしいものですが、取りすぎると全体のバランスに影響します

この鉋は調整できるガイドを鉋に取り付け、角度と面巾を正確に削りだすためのものです




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刃巾9分、仕込み角38度の二枚刃構造
4ミリのねじでガイドの巾を調整し、任意の面巾に仕上げます

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「エンタシスの柱の大面取り・斑鳩の厨子」

細い棒を削る場合にはこのような治具上で削ります
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データ作成・早川久美子


2009.09.01

寸法録_小鉋_立刃寸五のきさげ鉋

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「きさげ鉋」1995年



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台鉋(台に刃を仕込んだ鉋)は、割って製材出来る目の通った樹木がなくなり、欅などの雑木を使うようになってそれまでのやりがんなでは間に合わず、必要が出た縦挽のこぎり大鋸(おが)とともに逆目を止めるために平安末期ごろに生まれたものと推測されていて、江戸時代の医者がまとめた和漢三才図会という百科事典にはさまざまな当時の職人の様子が美しい日本画で描かれています
そのなかに描かれている台鉋には今では消えている棒が台の両木端に差し込んであって、この棒をつかんで現在とは逆に押して削っていたともいわれています
 ところが正倉院にはすでに紫檀、黒檀、鉄刀木といった唐木(からき・唐から渡ってきた木)を使った木工芸品や指物で作られた欅の厨子があってつじつまが合わない
奈良時代以前にはすでに朝鮮から職人と共にこんな鉋が日本に渡って来ていたのではないだろうか、、紫檀を使った作品製作のために1995年に作ったこの鉋を手にとり奈良時代に思いを馳せるとサンドペーパーぎらいな僕は優雅な気分になります



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現在売られている台鉋は仕込み角度が38度と90度のものが一般的ですが、削り角度は何度でもよく、例えば難しい杉の木口や革用の30度以下に仕込んだ鉋があります

切削角度(仕込み角)は53度を境に、それより寝ている場合は逆目が起こらないように二枚刃で作り、起きている場合は一枚刃でよいと考え、90度になると削るというより「こそぐ」といったスクレパー的感覚ですが、金属の仕事ではきしゃげるといって「きしゃげ・きさげ」という道具を使った個性的で無駄のない伝統仕上がありますのでこの鉋に名前をつけるとしたら「きさげ鉋」などというと的を得てステキかも知れません

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「超硬刃のきしゃげ」

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立刃寸五のきさげ鉋は、父が「タテハ」と呼んでいた台直し鉋を参考に、銀などのきしゃげには少し甘めの刃が具合がいいことから95度の逆勾配で仕込んだ小鉋で、それによりくいつきが甘く、材料に鉋がひっかっかる感じがありません。寸五とは刃巾が一寸五分=45ミリぐらいという意です




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「仕込み角度と刃先角度」



仕込み角と刃先角には密接な関係があり、刃は鋭角になるほど切れ味がよく摩耗しやすく、材に逆目が起きやすく、鈍角になるほど切れ味が悪く逆目が起きづらく長切れします
このことから立てて刃を仕込み、硬くて53度でも逆目の止まらない紫檀や鉄刀木などの唐木やヴェンゲ、刃先を摩耗させる成分を持つチーク、加えて砂気の付いてしまった鉋下端やボンドのついたあて台をこの鉋は調子よく仕上げます

息子の作っている鰹節削りに使う鉋は、逆に寝かせて刃を仕込むことによって切れ味を優先し、硬い鰹節を削っても切れ味が落ちないように摩耗しにくいHSS鋼を使用して、台鉋の弱点をカバーするよう工夫しています
正倉院に残る木工藝品は一体どのようにして作られたのでしょうか?
素晴らしい伝統を引き継いできた日本の道具台鉋の原理をよく理解し、とらわれずにHSS鋼や超硬刃物などの新しい素材を生かすことが、新しい道具と作品の創作に結びつきます

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データ作成・早川久美子


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2009.08.30

指南帳_鉋の仕立て_其の三_研ぎ

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作っていることをひととき忘れる「研ぎ」 には自分の研鑚という意味があり登山と似ています

工房の流儀、、作法に好みがありますが
木工をやるかたは一例としてご参考下さい



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【注】仕上げ砥をあてる時の最終刃先角=切削角(=仕込み角)マイナス5度前後です
なれないうちは薄い金属板などで角度ゲージを作り研ぎながら確認しながら研ぎます

[用意する道具]

◯既製の砥石_中砥(なかと)二種、仕上砥(しあげど)二種、(好みにより荒砥・あらと)
◯面出し_厚みの減った砥石から切り出します
◯金剛砂_鉄、砥粒の素材で作られた粉でメッシュ荒さを使い分けます
◯砥石の切断と成形用のハンドグラインダー_先端工具の穴径15用にダイアモンドカッター厚み大小二種・使用時には保護メガネ着用
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飛世将利記




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川上三恵子記

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