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指物師の道具箱_鑿・小刀・刃物

2009.08.29

指物師の道具箱_手製刃物_三角鑢から作る鎬(しのぎ)鑿

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普通の鑿では加工出来ない、すいつき桟の溝底などの鋭角部の加工に使う鑿でコバが斜めに立ち上がっています
これは市販の寸法では間に合わない溝巾3ミリほどの自作の細い鎬鑿で、一辺が3ミリの三角鑢から作りました。ディスクグラインダーにダイアモンドカッターをセットして水をかけながら荒削りした後、ダイアモンド砥石で研ぎだして焼き鈍し焼き入れ作業を省きます



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鑢の先端部の細くなった2cmぐらいを落とし、腐りにくい檜やヒバで柄をすげ、研ぐときに口元から水が入って埋め込んだ鑢が錆びないよう漆などで口埋めします



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すい付桟の立ち上がり角度は70度強、鑢角度は60度
コバの鑢目は研がずに残して底と立ち上がりを一緒に仕上げます


09082905.jpg使用例

「真鍮製・パッチリ」

扉を閉めたときにぱちっと閉まるのでこう呼ばれる自製金物
肩を作らない大入れの真鍮金物を吸いつき溝に滑らせながらはめ込み、エポキシ接着剤などで抜けないように固定します


2009.07.25

指物師の道具箱_叩き鑿_耳上り

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「欅厨子屋根_小屋裏部分の仕上げ・耳上り鑿 角6分」

木彫叩き鑿。平面と入りすみ(谷部)を同時に彫るための鑿で、稜線のかたちが隅角と隅丸に仕上がる刃になっています。
隅丸のRには大小があり、耳と呼ぶ立ち上がりの角度に45度のものと90度のものがあります。作り手の好みに合わせて特注する鑿で、刃の形がそのまま彫り跡のデザインになります





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写真左は隅角刃、中は隅丸(すくい)


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左から
隅丸、隅大丸、隅丸すくい、隅角


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底の深さをボール盤などで基準面としたあと、荒彫りからこの鑿だけで仕上げます
底部にはすくい刃を使います


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「刃表部」

刃裏が鋼、刃表が地金で裏スキのない刃物は仕上げ研ぎだけをしますが、キング"仕上げ砥石 #6000を刃巾の三分の二程度に切り、片側角部をGCなどの荒砥石で鑿の角の形に合わせます
また刃裏が錆びると修復は難しいのでめ特に手入れを入念にします

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「道具箱の宝物」
父保三が日本美術学校(現芸大)の恩師・星雲先生から譲り受けた耳上り

道具は不思議な力を秘めているようです
美しいこの鑿を使うと仕事への気合いが違い、
一歩でも父の仕事に近づけるような気持ちになります

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【注】木工の仕事に役立てる以外の無断転載をご遠慮下さい

商業用などに使用される場合はご連絡下さい

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2009.07.07

指南帳_鉋_豆平鉋の制作_鑢から作る溝鋸の制作_其の九

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坂本富士夫作溝鑢 - 1.jpg
封筒.gif

さて夕刻鑢が無事到着しました

今度は刃先線も一直線に揃いよく切れます。これでは小生出番がありません

偶然なのかともおもいましたが親指と人差し指で掴む当たりがうっすらとくびれて、金属の冷たさを感じさせない昔の包丁のやさしい感覚でうれしくなりました。労苦をいとわず手に豆が出来るほどの時間がゆかしい鍛造の痕跡で、切るための条件、上目がひとつひとつのスミまでキチンとよく立ってなんと美しいのでしょう

(それにしても目がよく利きますね・老眼でしょうに若い頃からの鍛えが目に浮かびます)

そういえば日本では鉄のことをくろがねと呼んでいました。砥石で研ぐと白く光りますがやはり黒光りが奥ゆかしい。鋼の持つ野武士のような強さとやわらかな曲線が無理なく同居していてこれは貴金属にはない手仕事の刃物ならではと感動です。


【備考】茶釜や火皿のメンテナンスに残り茶を使って趣のあるくろぐろとした味を出すのは、鉄分と茶葉に含まれるタンニンの化合を利用した日本の伝統技法

【注】日本の鋸は引き切り(引いたとき切れる刃の作り方)ですがこの鋸は押し切りで西洋の鋸と同じです。日本の昔の大八車や荷車は引いて運び、現在の庭仕事用一輪車は押して運ぶ違いと似て興味深いですが、この溝鋸は鑿が何百も連なっているような構造が特徴です

いい道具がなければいい道具を作れませんがこれは僕達の暮らしも同じくでしょう・笑。 鉋台の制作は押し溝が要ですから、僕の目にはすぐそこに調子のいい貴兄の鉋が見えています。この溝鋸を使って愛用小鉋が出来、それを使って歯車が出来れば昔の水車のようななつかしいイメージ、夢に一歩近づきましたね



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「坂本富士夫作溝鑢」2009年7月

スミつけをどのようになさったか不明です


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「坂本氏設計鋸刃角」

切り込み角80度・上目角60度」


坂本富士夫作溝鑢 - 6.jpg

鋸道方向を曲げるために鋼厚3.3に対し、峰部分厚みを2.5にしてあります
また木目に対し逆目のない角度切り専用なので裏刃(脇刃角)は不要です
これにより目振りやあさりだしも不要となりキチッとして滑らかな切り口が得られます



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さぞ大変でしたでしょうが、完成ほんとうにおめでとうございます

現代の一般的な鋸はレーザーでカットして機械目立ての替え刃式が主流となりつつあります。僕がカッターナイフをめったに使わないのは研ぎの楽しさに加え、型紙の切り抜きや革の裁断などに必要な特殊技術のためなのですが、このままいけば持っているだけでもうれしくなるような美しい道具は将来なくなるかもしれません。しかし良く考えてみれば一生替え刃を買い続けることに比べれば手打ち刃物は安価なものです。機能に加えて見た目や持った感触に加えてそのものが醸し出す雰囲気が、言葉に喩えようもなくすてきなことを美しいと表現するのでしょう。これは工芸品といわれる所以で伝統となる絶対条件でもありますね

三城は今日は一日雨になりました。そちらではもうあじさいの季節なのですね



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返信.gif

前田純一様

 

素敵な課題のお仕事で!興奮し夢中に成られておいでで!羨ましい限りです!昔の人の仕事は現代では計り知れない部分が沢山隠されているように思います!

昔からある道具だとか仕事だとか、その様な仕事をしている人達の生活人柄!お話をお聞きしているだけで現代のむなしい社会の矛盾から解き放たれる事が幸せな時間と時々ご迷惑をお掛けしながら過去の偉大さをかみ締めている次第です!

確かに昔は定規も数式も無かったのでしょうが!モット人間が持っていた共通の言葉"感覚"の様なものがお互いの心のどこかに在って!何かを作り出すと其の共通の言葉が自然とお互いの仕事の基準に成って、素敵な三次元の世界を作り上げてきたのではないでしょうか!?

今回の焼きいれも!センサーと言う機械ではなく!人間の持っている色の感覚で基準を作るとセンサーが無くても!数字が無くてもお互いが理解できる数値以上の正確さで!其の事が伝わるのではないかと考えております!

キャノンがまだコンピュータをやり始めた頃!キャノンの技術者が尋ねてきまして!ベジェ曲線なるものをアップルPCで良く話し合ったのですが!小生はその曲線に磁石を当ててより自分の感覚に近い曲線が欲しいのだと!数式でいじるのではなく感覚""で感じる曲線が欲しいのだと!其れも複雑な操作ではなく簡単な方法で!と言っていましたらキャノンはPCから撤退!でも小生が三十数年前提案した事が沢山実現しておりますが!複雑すぎて理解しがたい事が多い世の中になってきました!長くなりましたお許し下さい・・・・・・・・・・・・

 

屋根裏から昔の玉手箱が出て参りまして!受賞作品のカンから出てきましたので送信いたします「私・二十七頃の作品」

其の当時と致しましては革新的なデザインでした"表と裏の顔が違う"自慢話になってしまいましたがお許し下さい!

左右一対切り出し!頑張って作ってみます!

 

坂本富士夫受章作品.jpg

「坂本富士夫受賞作品」


貴重な写真をありがとうございます

メタリックな感じがいかにも新しい時代の幕開けを彷彿とさせているようです

僕も見た覚えがあるなつかしい感じで当時を思い浮かべながら、あれほどまでに憧れだったクルマというものが都心では役に立たなくなってしまった現在を考えると隔世の感ですが、時代に合った本当によいお仕事をされましたこと、僕まで懐かしい思いです。それにしてもよい仕事とは色あせないものですね

貴兄の作品からは暖かな人間くささや仕事を楽しんでいる心情があふれ、またアップルやキャノンのお話でのベジェ曲線は興味深く、図面で書くことが出来てもそのまま具現化したものはきれいすぎて機械的で面白くない、つまり美しいものとの差異なんでしょうがやはり人生一度きり、アナログ感覚人間でありたいですね


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「やまあじさい・2009年6月の庭で」


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