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若者たち

2008.11.27

弟子の作品_楢と鍛造アルミの箸箱_深見昌記作

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「楢と鍛造アルミの箸箱」深見昌記作 2008年


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鍛造アルミの弾力を蓋の開閉ストッパーにした合理的なデザインで感心しました。錆びないアルミ合金の清潔感は食器類に向きますし、鍛造で材料に張りを出すことでバネ性を高め、薄い材料が軽金属を使う意味に繋がって、素材を生かした鎚目テクスチャーの味わいが手作りならでは魅力的な作品となっています。

木部について、無垢素材を掘る技法では木口が割れるので板厚が大きくなってしまいます。これは板厚が軽やかで指物ならではの仕事と嬉しいです。ほぞを組むのは木口台の修練が不可欠で苦労したと思います。しかし手間のかかったものはやはり味わいがありますね。

一点提案がありますが、置いたときにクリップがテーブルを傷つけそうです。底板を彫り込むなど底面がフラットになる工夫をすると解決しそうですが、思い切って逆転の発想はどうでしょうか? 蓋が上という伝統に挑戦し、身と蓋を入れ替えてしまうことが出来たら画期的ですね。
 それにしても工房での経験がよく生きた考え方でうれしくなりました。白川先生はとても気に入っているとほめて下さっています。ますます頑張っていい作品を作ってください

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写真を撮りましたので後日お渡します。小品の小ささを表現するには大きさの指針となるもの(ぼくはタバコ・・)を置くといいと思います。カメラは望遠で撮りますが、望遠レンズがなくても、画像変形で遠近補正・自由変形ができます。また四角い作品が樽形に撮れるのはいやなものですね。直す場合は11月7日の樽形補正を参考にして下さい。
 このような撮影では無彩色のアルミ部にどうしても色がついてしまいます。ホワイトバランス調整では難しいので蓋部を選択して彩度を落とすか、スポンジツールを使って下さい。逆光気味に撮影し、金属の一部に反射を入れると質感が出ます。


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▶▶▶深見木藝工房

2007年独立。名古屋で工房を構えています

誠実・温厚・やさしさにあふれる好青年です




2008.11.26

結婚式_いのり パーティーのたのしみ

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東京の結婚式に参加させて頂くのは山の生活者にとっては小旅行となる
前日信州は雪模様だったので夏用のタイヤのミニで出かけるにはためらいがあり、まして野外での結婚式がどうなることか心配だったが、秋たけなわのこの日、天は見方をしてくれた

親類縁者が見守るなかで二人が覚悟を誓い合い、お披露目パーティーとなる
パーティーには趣味の集まり、お茶会、あるいは仕事仲間との発表会などなどさまざまな意味合いがあるが、結婚披露パーティーは、家族友人、先輩後輩、職場学校仲間などが何かの縁で結ばれていて、新夫婦の永遠の幸福を祈るといった参加者全員の公約数的共有感がなにより楽しい。加えて主催者である新郎新婦の生き方の表現でもあるから、二人の側面を知り、その考え方や趣味性に共通点を新たに発見することで皆の絆が堅くなるだけでなく、このように育てられたご両親のご苦労とお人柄を想像できるのだ。
外見からは想像がつかないT嬢の、芯の強さと愛犬HONEを式に参加させる個性と、心配りや礼をわきまえる持ち味を再認識、W君は大きな体とひろい心で相手を受け止めることの出来る優しい青年と見受けられて僕の心は豊かになり、後味のよい東京の秋の一日をわけて頂いた。

結婚も仕事も全うするのは難く、天候、災害、不慮の事故、やまいなど解決できない場面に直面すると人はいのるほかに術がないのだが、田舎にはまだ存在している鎮守の杜が、社より先行していたことの意味を思うと、樹木の下での結婚式というのは木工家の僕に限らず興味深いことではないだろうか。東京にも自然豊かで、齢を重ねている樹々に守られた公園は数多くあり、世田谷区の砧公園も昔から僕の大好きな場所である

2008.11.20

works_筥_厨子 仏壇_仕舞う・いのりのかたち

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works_厨子 仏壇_楓の仏壇_室田様2006年_photo_仕事中の写真_ - 008.jpg
「弟子達_深見昌記君・2006年M邸の仏壇の手伝い」

木工は筥物が難しいとされ、身と蓋の関係が要求されます

精緻と表現されますが、指物の得意分野といえます



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箱は容器で、なにかをしまうもの、ボックス、ケースのことですが、日本では筺 函と使い分け、「筥」という字には大切なもののいれものを、作るといった動詞が含まれるようです。
正倉院の黒柿材厨子は、厨房に置かれた食物のいれもので、神へのお供えをしまう神聖な筥と思われ、西洋の教会にはワインをしまう筥があり、その意味で僕はこれも厨子と認識しています。
また、厨の字は、キッチン 料理する場所を、厨房とすることと関連があります。
厨房は生き物を捌く神聖な料理処という意味かと思われますが、工房も文房も同義で、「房」のつく場所は大切な作業をするところといった意味があります。

仏壇は厨子の一種で大切なものの容れ物ですが、収納する、しまうことを「仕舞う、終う」と書きます。この字には、やりとげる、成し遂げるの意味があって、僕達の厨子仏壇は仕舞う筥の意です。



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「夕餉の仕度く・かつお節けずり」
2006年弟子達_石川真帆君と田所美帆君

用意したり準備することを、仕度すると書きます
仕度してする勉強には、頭でするものと体ですることがあり、五感を通して伝統が伝わることを父子相伝などといいますが、音楽では理論と譜面から学ぶことの少ない津軽三味線、フラメンコなどがこれにあたると思います。

「手伝わせる、見習わせる」には感動が伴い、人の技や心が、手を通して伝わるの意味があります。
夕餉の仕度を若者と一緒し、美味しいねと感動しますが、これには美しいの意が含まれ、料理とは食べ物に限らず、木工は樹を美しく料理する仕事です。
佳くできた人や作品を「かぐわしい、味わい深い」と五感による香りと味で表現しますが、接すると心が休まります。


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僕のいのりのかたちは、未来の夢と時間を仕舞う筥です

円錐の屋根の厨子_2007年_金井清志邸_作品_org - 028.jpg
「いのりの像と円錐の屋根の厨子」2007年

楓の仏壇_室田様2006年_photo_仕事中の写真_ - 007.jpg
「若者達・錺金物の制作」2007年

桑厨子_行松様2007年_photo_工程_扉金物 蝶番取り付け - 0106.jpg
「若者達・内掛金物の取付け」


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「若者達・撮影風景・M邸仏壇・内田君」2006年

桑厨子_行松様2007年_works_金物_厨子仏壇金物_引き手 宝珠 - 0003.jpg
「works_金工_小さな厨子の宝珠」2006年

桑厨子_行松様2007年_photo_工程_扉端喰 - 0007.jpg
「仕上げ工程・Y邸厨子」2007年

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「いのり」2008年

筥に失敗すると、身も蓋もない仕事になったといいます

僕はテレビのない山の中で仕事をしていますが酷いニュースは伝わります

身と蓋は、夫婦や親子や国家のようでどちらが欠けても成り立たない

いずれにしても日本語は奥の深いものです。



2008.11.10

これからの和_伝統と若者たちの仕事_フォレストコーポレーション

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「伊那で」11月1日

工房で修業した若者たちの仕事を見に、

深まり行く秋の中央道をドライブ。

周辺は収穫の喜びに満ちていた


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「縁側現代版」

伊那IC近く、信州の街づくり家づくりを目標にお仕事をされているフォレストコーポレーションの住宅展示場にお邪魔し日本の伝統を再認識する

ご隠居さんがひなたぼっこをしながら縁側に腰掛け、道行く人にお茶しない?なんて景色を連想して思わずほほがゆるんだが、松本の茶補、伊勢の園と同じ発想でうれしい

炭火にしつらえた鉄瓶から湯気が立ったりすれば、このうえなく暖かな空間になるが、フォレストコーポレーションはガラスで囲った半野外の空間をつくった。

土足でお隣さんが立ち寄ったりしてくれたら幸せだが、孫が炭火の暖かさを経験しながら爺さんの炭の扱いを見ている日本の風景はついこの間まで東京にもあたりまえだった。炭の番は年寄りにしか出来ない芸当で家庭教育でもある。

縁側には縁の下というおまけがあり、昔は地震に備え練炭や炭が備蓄してあった。これは歴史が教えてくれた知恵で現代にも通用する伝統だろう


雪見障子を上げると、室内がはっとするような違った空間に早変わりした

茶室のような小宇宙を連想したが、カーテンには出来ない和紙のなし得る技である

建具の引き手は「ちりおとし」と呼ばれるが、埃がおちる機能が美しい曲線となっていて、清潔で繊細な日本人が、細かいところにも気を配って育てたステキデザイン


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ベッドとソファは魅力だが、バタンと寝転がると青畳のかおりが漂い、自然を尊んできた日本の民族性を感じる

消滅してしまった日本の伝統、床の間の精神性も現代の住宅に取り入れたいと、若者の作った家具は台ではなくて床の間である

解ってきたな、、と僕は嬉しく、ベッドルームの壁には、M4新作品漆タイルの壁掛けがかかっていて、絵画と違った新しい魅力と未来を感じる。

住宅展示場での建物は、こぞって外見に個性を見いだそうとしているのだが、美しい日本の伝統街並をみると決してはそうではなかったようだ。個性的な人の生きざまが作る内部空間は?この街並み作りはそのことへの問いかけのような気がしている

深見昌記君、石川真帆さん、大変だったね、お疲れさまでした


続きを読む▶▶▶

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フォレストコーポレーション 小澤様

このたびのご縁を有り難く感謝致します

日本の暮らしの本質をとらえた、未来の和の家造りに感心致しました

お目にかかるのを楽しみにしています




 

2008.11.06

小椋正幸_木と漆のうつわ展_伊那 小蕪亭で 2008年11月7日から

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街_信州_妻籠 馬籠 団体_木彩会_役員会2008 小椋商店へ - 22 1.jpg

「妻籠早朝・少女とトイプードル」


ときおり手が空くと妻籠を歩きたくなる

小椋正幸さんの工房と妻籠は車で5

妻籠を歩いて、秋ならば栗きんとんをいただき、

富貴の森で温泉につかって、工房に泊めて頂く

彼とあれこれ話すのは何よりの気分転換になっている



20年以上前、父君小椋栄一さんと僕が、日本工芸会木竹部の仲間だったことがきっかけになり小椋正幸さんと出会った。小生は三代目、正幸さんも長い家系を背負う厳しさが共通で、僕は江戸の洗練、彼は地方の野趣を身につけて、お互いに持ち合わせない魅力を感じ合っていたような憶えがある。
飾り気がなく、朴訥正直で、気配りのできるナイーブな彼と気が合い、以来家族ぐるみのお付き合いをさせてもらっている。

彼より20年ほど早く、機械文明の幕開けに失意を味わった僕は、悩みつつ手仕事の魅力を追求していて「機械では成しえない仕事」をするんだよ・・と会うたびにに自分の思いを語らせてもらっていた。
豪快で繊細、野趣があって気品を伴い、素朴であっても土くさくない、簡素で飾り気がなくて、きりりとしていること、風雅でいて精緻であって、長閑でいて気が利いていること、田舎のかほりがして垢抜けることなどなど・・・欲張っていつでも僕は話す

妻籠 小椋商店へ2008:9月05.jpg妻籠 小椋商店へ2008:9月04.jpg妻籠 小椋商店へ2008:9月02.jpg

妻籠で2008年9月

機械と手工具を使い分け、長い修業を積みながら作ることに多少は自信があったとしても、人間を磨いて「美しいかたち」の無理難題を表現するんだよは、僕自身のことでもある。
蕎麦うちと日本酒の好きな彼の生活スタイルが、木地も塗りも一人で仕上げる彼の心から流れ、工芸の本質をよくとらえた手の痕跡となって、このごろ見事に昇華しはじめたような感動を覚える。
 その姿が君自身なのだよと嬉しいが、あのときの出会いがなければ、僕の作品には野趣が伴わず不健康で、君は単なる野暮であったかもしれない・・

言葉のようには簡単にいかない「かたち」は、僕も同じで先の長い道程、これまでの仕事の成果の発表を区切りに、家系を背負いながらご苦労をされてきている父君と暖かいご家族に囲まれ、ますます腕とセンスを磨かれて、貴君の個性が宿る作品がとどまることなく生まれることを願い、展覧会のご盛況を心から祈っている。




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▶▶▶小蕪亭
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