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前田純一 blog

2009.08.24

木口台・留台(こぐちだい・とめだい)

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指物でよく使う木口台は、頻繁に使う直角と45度二種の三台がセットになっていて、直角のものを木口台、45度のものを留台と呼びます
 昇降盤など機械の精度がよくなりましたが、手鉋と鑿の最終仕上げには不可欠な道具です


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大きさは特に決められているわけではありません
自分の使いやすい大きさで製作しますが、ひんぱんに使い分けるため、片手で動かせるように台部を軽い針葉樹、傷みやすい棒部分に広葉樹を使っています


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留台A

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留台B

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留台の場合は台部の伸縮によって微妙に角度が狂いますので、木目が直交するように針葉樹三枚を貼り合わせた台部をすすめています
ほぞ組接着をしない分解構造は、木が動いたり傷んだ際、取り外して再調整するためです

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直角と留め(45度)を削る以外に以下のような使い方をします

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左上・際鉋を併用してほぞのどうつき部の微調整
右下・長さ決め・きがねを併用して部材の平均長さを出したり、あたり(ストッパー)を固定して多数の部材の長さを決めたりします

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「直角と寸法の微調整」

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胴付鋸、鑿を使う、胴付部分の仕口の細工

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「あてぎを併用する角度の微調整」

【注】木工の仕事に役立てる以外の無断転載をご遠慮下さい

商業用などに使用される場合はご連絡下さい

前田木芸工房 前田木藝工房 松本市美ヶ原三城 江戸指物師 前田純一 厨子仏壇制作販売 まえだもくげいこうぼう




2009.08.23

みなとみらいのインテリア

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木工家であると同時に子供の住環境を作るのは親としても当然の仕事で、それらが僕の作品のベースになって発展している
実家が超自然なので超都会が家族にとってもいいと、(お陰で赤煉瓦脇のハンバーガーショップのビールは僕の楽しみになった・笑) みなとみらいのマンションの抽選に運良く当選した娘夫婦の2003年の引っ越しに向けて、彼等のこれからに僕は家具を拵えた



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海が見えるか日当たりか、僕は日当たりが絶対とすすめた。彼等の身の丈に見合った価格の面積75平米の小さな南西角4Fにはラウンドした大きな窓がついていた
海は近いが、開発コンセプト「森」が娘達にとってはなにより魅力で、エントランス広場には樹の苗が植えられ、現在は4階の窓に届くまでにも成長し、小鳥達が賑やかに歌うようになり下草も根付いて僕の好きなシダが群生する真夏涼しい住民のオアシスとなっている


「野毛山方面を望む」2005年

この写真の撮影時みなとみらい線はまだ未開通、ダイニングキッチンからは開発中の周辺の空き地が見えていた。僕はセブンイレブンで朝刊を買い、アスファルトを散歩して横浜美術館を通り開店すぐのカフェクリエのモーニングコーヒが何よりの楽しみで、ごく当たり前の都会の朝は、田舎の高原暮らしの僕にとってはありがたい子供からのプレゼントになっている



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「栗材のサークルテーブルとDIVEとフューチャー」

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「サークルテーブルとサークルチェアー」は家具を持たずに三城へ移住した当時、建築用に仕入れた松材の余りで作ったものが原型になり家族円満の願いからのネーミング

直径1メートル20cmの原型をひとまわりちいさく、テーブルトップを日本の食生活に合わせて低くしたが、通常の構造では幕板で脚が窮屈なので、無い知恵をしぼり脚部を45度に組んで自由な膝の動きを実現するデザインとなった


甲板は人の手の痕跡を生かした手仕上げの栗材
今は過ごした時間が美しい傷となっていてこの仕上げは工房の伝統である









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入居後、子供のいない娘達はジャックラッセルのUnicoを飼い、なんと彼のバースディパーティをこのテーブルで毎年開いたりしている・・・笑・・・のだが、結婚記念日などなど、もちろん親類縁者の祝いごとの舞台ともなっている


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その後息子の初作の椅子「DIVE」が加わり、当時の初めての試み、アルミの背の椅子「フューチャー」が増え、アルミのランチョントレイ、家族一年箸、溶銀の箸置、寄木花入れ、面取りのペンスタンドなどなど、うるさい娘にテーブル小物の試作品モニターになってもらうのだが、友人や仕事仲間がわいわい集まっても大勢座れる角のないサークルテーブルは思い思いの大切な歴史を刻んでいる


2009.08.17

音の書斎_ミュージックデスク_其の四(完)

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「音の書斎_MMの家具」 2009年



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8月の連休、家族で完成祝いを兼ねてMMへ



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デッドスペースだった建物のコーナーに合わせ、デスク右側を30度振ってモニターをゆったり置ける奥行きを確保しながら周囲と一体感のあるデスクワークが出来るようになりました
コンピュータ組み込みのものからもうすこし上質な音で音楽を聞きたいとなると、CDや Ipod などからのミュージックソース、ソースを電気的に増幅するアンプ、増幅された電気を音に変えるスピーカーの三要素が必要になるのですが、置き場所はなかなかないものです
放熱を考えアンプを載せる棚板に熱伝導率の高いアルミを使いました

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「手にやさしい 信州カラ松材柾板うずくり仕上のテーブルトップ」

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限られた面積の都会暮らしで置き場所に困るプリンターと、傾斜させて取り出しやすくした本棚をキャスター付のワゴンに収納し、デスク下にしまうデザインにしました

スペアインク、コピー用紙などの保管は乱雑になりがち
何色がなくなったなど、管理がしやすいように奥行きの小さな棚を下部に作ってあります




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食べる寝る集う遊ぶ、、そして自分を耕す知的空間MMの書斎は音楽とドッキングした分解構造、エレベータへの乗り降りを容易にし、清潔感のあるアルミ材の底板がレールを兼ねる吊り下げ式の引き出しは、文房具好きの娘が好きなところへ仕切り板を両面テープで止められるようにしました

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090807n05.jpg今回の試作ではさまざまな材質が音に影響することを楽しみました

柔らかな反射音の音場効果を楽しむ美しいメイプル材の小さな小さなデスクトップスピーカーと、信州の自然に育まれたカラ松材の音響特性を生かして低音を振動させる新発想のステレオは、スーパーウーハー置き場の悩みを解消しながら深夜の小音量でも奥行きの深い豊かな音楽を表現してくれています







090807n07.jpg090807n06.jpg工房の木の床ではボリュームをあげると低音が響きすぎて心配でしたが、コンクリートの空間ではほどよいバランスで品のよい音楽を奏でてくれました
音楽は空間の状況でさまざまに変化しますが、アンプを変えたり部品を工夫してみたり今後は娘婿の楽しい時間となるでしょう





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完成祝いの夕食・横浜大通りにて


2009.08.14

指物師の道具箱_小鉋_際鉋(きわがんな)_三八ネカセ詳細

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一枚刃構造、木目にたいし直角に削る際に使う鉋です
大きさ三種 大、中、豆、のうちの中になります

指物一般小鉋の仕込み勾配53度にたいして38度弱にねかせ、75度に仕込みます
刃先角33度+逃げ角5度=仕込み勾配38を保ちます


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鉋台 厚み2.5cm、巾3.3cm、長さ15.5cm

【注】
この鉋台の材料、赤樫は白樫ほどねばりがありません。刃を仕込む際には
台頭が下方向へ大きく開きますので何回かに分けて作業し、割れないよう気をつけます(下写真参照・台頭が2ミリほど下がります)

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刃の仕込み角38度・振り角度75度
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刃巾25ミリ・長さ65ミリ程度・刃の先端部厚み3ミリ弱・振り角度75度

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【注】木工の仕事に役立てる以外の無断転載をご遠慮下さい

商業用などに使用される場合はご連絡下さい

前田木芸工房 前田木藝工房 松本市美ヶ原三城 江戸指物師 前田純一 厨子仏壇制作販売 まえだもくげいこうぼう


2009.08.14

指南帳_木工_てり・むくり_大島寛太さんとのメール_

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封筒.gif前田純一様
記録的に遅かった梅雨明けから10日、
和歌山はやっと夏らしい暑さになってきました。
それでも、今年は冷夏の予想も出ているようですね。
田舎暮らしのこと、米つくりをしている友人・知人も多く、
日照時間の不足がやや心配な昨今です。

皆様、お元気でお過ごしですか?

工房のホームページ、ブログなど、いつも興味深く読ませてもらっています。
とくに指南書の記事はどれも永久保存版の内容で、
個人で一から試行錯誤していたなら膨大な時間がかかるであろう技法、工作法、
分厚い経験に裏打ちされたデータなど、
それを公開してしまうところに前田先生の遥かな思想を感じます。
僕にとっては大きな刺激であり、またよき道標。
感謝の念に絶えません。


最近、小鉋を作ったので感謝とともに画像を送ります。
お時間あったら見てみてください。

鉋刃は以前買ったジョイントカッター刃にテーパーをつけて使っています。
内丸と外丸の2丁。Rは100ミリ。

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5年前(?)に初めて工房をお訪ねしたときに教えていただいた溝鋸は、
ディスクグラインダーも持っていなかった当時、通っていた技能専のボール盤で加工したものを使っています。
ただ、ボール盤で穴を開けた時のバリが影響しているらしく、挽き溝が片側に寄ることが今回判明。
研ぎなおすか、作り直す必要もはっきりして、峰も、鑢の幅のままなのでR刃口を挽くときに邪魔になってきました。
最近、ご友人と交わされたメール記事のなかで溝鋸の形と理由の説明があり、なるほどと合点しました。

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今回は、制作中のデスクの端喰部に、筆返しの要素を取り入れたくてそのために小鉋が必要になってきました。
切れ味は良好で、逆目もよく止まります。時間はかかりますが、削りながら、これでいいのだ。という感触が手から伝わってくる。
自然界で樹木が成長する速度を追い越さない速さでものをつくりたい。理想論ですが、そう思いながら工作を続けています。

残暑厳しい折、ご健康をお祈りしています。

草々

大島 寛太


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封筒.gif大島寛太様

メール嬉しく読ませて頂きました
気候不順の信州ですが和歌山の様子を知り全国どこでもお天道様が恋しいですね
松本ではすいかが不作に加え、暑くならないので販売も伸び悩んで困っていると見聞きしています

仕事に精進のご様子、写真とともに拝察しました
しっかり要点を見据えて貴君らしい工夫で道具を作っている姿を想像して嬉しく思います

さて、筆が転がり落ちないようにという機能から生まれた筆返しがキーボードの時代に機能するのかは曖昧です
それでも真剣に木工を目指しているといつか筆返しをやりたくなる
 祖父の時代には筆は実用品で父の時代はそろそろ万年筆、いまやサインペンやボールペンとなりそろそろパソコンモニターとなっても僕もいくつか作りましたし、息子も数年前作っていました

厨子の屋根をやっていて僕は不思議に思います
日本の、とくに屋根の形のルーツは直線的なものだった、それがすぐに曲線のてりとむくりの屋根になり以後の伝統となっている

それはなぜかというと美しいからではないかとおもうのです
そもそも美しい曲線は目的とするかたちと、実現するための技法双方ともに、とびぬけてむずかしい。真剣に仕事をする人間は、いつの時代でも飛び抜けて難しいことに挑戦したくなるものではないでしょうか?
「滅びてもなお美し」が日本の心としても、美しいものは機能を失っても傷んでも、賞賛され修復されて日本の伝統の資産として伝わってきているものだということは古くからの建築をみれば明らかなのですが、なんの役に立たなくても美しいかたちのものとは、ただあるだけでよくまた不可欠な人の心に響く美術や音楽とおなじ芸術なのです

「てり、むくり」は切磋琢磨をくり返して洗練され完成した日本の伝統で、もっともうつくしく制作はむずかしい
仕事は美しい形を理解することとその実現に向けての技法マスターが不可欠です

具体的には

1 自然界にある有機的なカタチがベジェだということを体で覚えること

2 つくりだすかたちにどんなささいな欠点もないこと
    逆目、むら、よどみ、ためらい、贅肉、手あか、不用意に付けた傷などはもってのほかです

3 品位、品格、気品を身につけること
てりとむくりは装飾ですから形が勝負
媚び、てらい、計算があると下品で、美しくなければむしろないほうがいいものです

いずれもそうとう大変ですが、それゆえ挑戦したくなるのは貴君に志が備わっているからと感じます。しかし自分の手から美しいものが生まれ出たときの感動は飛び抜けていて子供を生み出せない我ら男性が、いのちを備えた美しいてりとむくりを創造するよろこびは別格です

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◯道具について

溝鑢の工夫がなかなかいいです
手持ちの道具で実現可能な機能をよく理解している
なにかがたりなくて一生懸命工夫していると思わぬ創造につながるもの、僕もたびたび経験していてハングリーだからあり得ることですね

伝統にはなかった刃底が丸いのが斬新で、鋸屑はここで回転するので詰まることがなく、10おきぐらいに大きい丸が昔のオガのようで、なお固まった鋸屑の排出をうながしている
これからの溝鋸はこの作り方がいいと思いますが、僕にはない発想が愉快ゆかい、まさに教えるは教わるです
削ろう会の酒井さんが先日溝鋸をみて、これは知らなかったと感動していましたので、鉋作りの好きな人は真似をしてくれるといいですね
これからの職人はノウハウをどんどん提供し合いながら制作に生かすことが大事です

鉋について、
台尻が少し長いなと思いましたが刃を振るための押し溝の遊びがきちんととれているのをみると、外丸、内丸も上出来でありましょうと想像できます。今後の一生道具になりそうですね
台下端の曲面だしが大切ですが、どのようにしていますか?

◯作品について

室内で使うものでは端喰は板巾に限界があります
樹種によりますが30cm以上は動くことを前提に木端に将来生じる段差を考え、つらいち、に仕上げても無意味だとすることが肝要です

PS
筆返しのてりと、甲面平面との境い目のよどみを削り取り去ることが肝要です
木目方向が交差していて平面から曲面につながる部分の仕上げは大変難しく、漆仕上げなどで艶があがるほど逆目や凹凸の欠点が現れてきますが、このような部分には僕は 「際鉋_三八ねかせ」 を使います
この鉋は木目にたいして直角に削る際の木の傷みを最小限にしながら、件の境目に次の仕事のガイドラインを作ることができます
近々詳細をブログにアップしますので作るときの参考にして下さい

それでは気候不順のおりお元気で、いつか時間が出来たら奥様とお出かけ下さい



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「桑材厨子屋根の仕上」2008年


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