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前田純一 blog

2010.08.14

庭の愉しみ_ちこのカート

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孫が一歳を過ぎたら庭で遊ぼうと木のカートを作った。繊細なのだが踏んづけても錆びついても壊れない鉄の車輪がついている。
天然素材、構造を学べるシンプルなデザイン、鉄の引き手にすべりどめの凧糸を巻いて女の子らしく赤い漆で固めこれも強靱だ。
無一物無尽蔵・・・・タンポポとかクローバーといったものを雑草だとか、かわいい子鹿を有害獣だといった誤った常識を、僕達のように持ち合わせていないから子供は神様なのである

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「やまゆり・2010年8月庭で」

2010.06.20

works_子供の家具_ちこのゆりかご_2_工業と工芸

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「自製固定具」

あて台には固定できない作品制作のために大きなGクランプを改造して制作

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制作資料_ちこのゆりかご01.jpg上部と下部の大きさが違う柱状体を四方転(よほうころび)と呼び三面図には実寸が表れないので展開図を描いて制作を進めます。転び角度75度/15度は重力の理にかなう角度で椅子の背もたれの基本角度になっています。接合部の転びは4度弱になります
工業的なものと工芸的なものの形状はことなり、よくできた工芸品や骨董をよくみると全体がベジェ曲線で構成されているのが解ります。このラインはものを空に放った時の軌跡の形から放物線ともいわれ、日本では「てり」と呼ばれて伝統的な日本刀や鳥居などのかたちに表れていて、美術では機械的なアールを痩せたあるいは貧相なライン、ベジェ曲線を豊かなラインなどと例えて言い表します。洗練された江戸指物には細身で豊かなラインが存在しますが、「華奢」とは、余分がそぎ落とされていて、ふくよかで、きらりと華やかなたたずまいといったところでしょうか?
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「Rで表す同じ曲率の機械的な曲線と放物線」
矢印の位置に張りがあります

上面木端、手掛かりの楕円、面取りのラインは特に重要で、伝統の中で培われてきたお茶道具の棗などにみられるよどみのない美しいかたちは、常に曲率が変化する自然界の放物線で構成されています




  
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手掛かりの形(左)
上から「機械的な要素(直方体と半円)の組み合わせで構成された形」、「CADに備わっている楕円形状」、張りの位置を変えて手が入りやすくした実施形状

面取りの形(右)
左から「厚みと同じR値の断面」、「小さいRを両端にとった断面」、「ベジェ形状の断面」

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手掛かり部の加工手順と仕上

このような抜いた形の面取りを内面取りを呼び、かたちと共に加工の難しい仕事の一つです
 1_型紙制作、2_型紙を使い型制作、3_型で墨つけ、4_ジグソーで荒取り、5_トリマーで成形、6_小刀による仕上げ、7_磨きの手順で進行します
面取りビットの加工で荒れた表面を水拭きして蘇らせ、繰り小刀で成形し、楕円断面のあて木を使いペーパーで仕上ると木は生き生きと姿を変えて作品に命が宿ってくるのですが、この仕上がりが醸し出す印象や雰囲気が工芸品か否かの審査基準となり、機械に出来ない手仕事の醍醐味といえます



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「手掛かりの仕上げとあて木」

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「おだまき」2010梅雨の庭で

銀座和光展_2011年
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2010.06.15

works_子供の家具_ちこのゆりかご_1

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「チュールのついたクレードル」

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木に囲まれて育つべきである、、と僕は思っていて嫁のおなかが目立ち始めると僕のアタマにさまざまなゆりかごのスケッチが浮かんだが、ゆりかごで育つ10月までは蚊帳が必要だろう、暑くてぐずったら揺すってやりたいと思ったのは母親の胸でそのように育てられた記憶からである

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「オミグルミの養生」 2010年3月

8分に挽き、捻れぬよう治具を拵え5枚まとめてプレスすることにした。立てて乾燥室へ入れたのはより自然で水分が移動しやすいからである。室温30〜35度、毎朝ナットを廻してみると二ヶ月で締まらなくなった。ボルトのネジピッチから計算すると一枚当たりの厚みが4、5ミリ縮んだことになる
当初は日本らしい杉板の香りの漂うスケッチだったが、タイムリーに手に入ったこの樹をどうしても使ってみたくなり、少々乱暴な乾燥の試みはせっかちな江戸っ子気質なのかもしれない
長野の鎌倉材木店三代目が持っていた東北の径二尺オニグルミはサワグルミに比べ緻密で、指物的な軽やかな手取りのよさに向き、しかも柔らかな杉のように扱いに不要な気を使わせない。子供が乱暴に扱っても材に含まれる自然のオイルが将来よい古美に作品を育て上げるだろう。
それにしても西洋でウオルナットと呼ばれて親しまれている胡桃が日本で伝統的に使われてこなかったのはなぜだろうか? 楢や胡桃がもっていた昭和の時代のバタ臭いと表現された感覚が、古来杉や檜の素木を愛した国民性にそぐなわなかったのかもしれない。しかし過去の西洋は、僕の感性のなかでも日本の伝統として変容している

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「ぬめ革を貼った鉄のロッキング」

土に接する革の木口に生漆を吸い込ませ、ミンクオイルを擦り込み防水性を高めて堅牢に作ってある。秋に彼女は身長65センチほどに育ち、この箱はすぐに着替えかおむつ入れかおもちゃ箱になるのだが、鉄製ロッキングは錆びて美しく、嫁にでもかんたんに取り外すことが出来て、床に接する棒材の面取りは伝統的な「タタミズリ」という形をしていて傷になっても魅力を失わない
ちこは本物に触れ、家族の気配と、樹と土の匂いを嗅ぎながら大切な時を過ごし、いつか揺する立場になるかもしれない。あるいはコンピュータ制御のゆりかごが出現するのかもしれないのだが、愛と美というものに寿命はないと信じたい。そうすればこのゆりかごは永遠に彼女の心の中に生き続けてくれることだろう

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「6ミリの鉄を鍛造して弾力を持たせた支柱と真鍮の取り付け部品」
季節柄差し込み式の部品を本体にとりつけて蚊帳をつけることにしました



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「早川久美子さん・藤原 茜さん」

東急ハンズがない松本では、小間物や縫い物素材は楽しいトーカイと決めている。客は手仕事大好き若いお母さんがほとんど。僕などないものねだりの、ヘンなじいさんと映っていることだろう。いずれにしてもふだんの仕事場にはない可愛いらしい素材が店内に溢れている

このようなときの頼みの綱は縫い物達人早川、今年春から工房へ来た茜さんにも手を貸してもらうことになった。
 色が自然で風をよく通すと目論み手に入れたチュールは破けやすいことが判明、再度トーカイで丈夫なものを買い直したり、縫い進むうちたちはだかる疑問に、まつればいいんじゃない?とかプリーツを仮縫いすれば?、展開図を描けばいいんじゃない、、だとか僕にはわけのわからない言葉が飛び出し簡単に考えていた蚊帳制作はただならぬ難しいことがらを数多く含んでいたのが判明した



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ふわっと素敵になどというのはまさにに絵に描いたモチで、隙間が出来て蚊が入る、しわがよる、軽すぎておもりが必要、なまがね交差バイアステープの切り口がきたないなど問題続出。結局再度トーカイへ走ってもらいYKKだの、パッチワーク用色違い生地、失敗して足りなくなったバイアステープなどを入手しなんとか完成にこぎつける。とにもかくにもふだん偉そう小生、彼女達の前にかたなしなのだった・感謝感謝


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「縫製開始3日目、いよいよ佳境」





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「娘が可愛がったディックブルーノを手に入れ家内からプレゼント」


そんなこんなで、ともかく6月14日 なんとか発送にこぎつけた







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蚊帳縫製_06.jpg銀座和光展_2011年
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2010.06.02

建築家_宮坂直志のデビュー作「松本源池・路地にある家」

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「宮坂直志君・5月30日のN邸オープンハウスで」

直志オープンハウス02.jpg「玄関ホール」
山の辺建築設計事務所を主宰する直志君のデビュー作品は28坪のコンパクトな二世代住宅。大胆な朱色に彩った玄関ドアを開けてホールに入ると、正面の大きな窓からそそぐ自然光が、建具仕舞いを生かして生まれた小さな壁の凹凸や、微妙に変化させた天井に陰影を生んでやわらかく室内を浮かび上がらせていました

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松本中町・トキシラズ、明治時代につくられた蔵の改修内装工事、コモ庄内・伊勢の園の焙じ茶製造室、とユニークな仕事をこなしてきた直志君のデビュー作品「路地にある家」を見たとき、音楽に例えれば辻井伸行さんのラヴェルかもしれないと思いました
そぎ落とされた本物素材、自然への敬意、光と陰影によるやわらかな室内、華やかと初々しさ、日本人の培ってきた間合い、新鮮で技巧に走らない高貴で若者らしいひたむきな心に溢れていたのです

ドア金物、トイレまでの夜間用ダイオード誘導灯など、ささいな金物まで現代的で行き届き、てらいなく洗練されている。それでいて、前庭にしつらえた石製骨董かいば桶(かって農村で使われていたもの。庭師、花岡君、宮下君が入手してながくあたためていた) が、現代的な建築を受容して農村の歴史や田舎らしさを香しく匂わせ、外観は城下町らしく質実剛健、軒のないキュービック立体を支える室内と外壁の漆喰塗りは、代々続いている白澤君の仕事で雨仕舞も信頼性に満ちています

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「見学の方々に振る舞った飲み物」

周辺地域に湧く名水は城下町が形成される以前から飲用水として使われ、天保14年刊行の「善光寺道名所図会」に「当国第一の名水」と記述されていて、所有者だった小笠原家臣の河辺与三衛門源池の名から「源池の井戸」呼ばれるようになったそうです。
松本市美術館裏手、「山がた」のそばが旨いのも水温12度のこの水のお陰、気取らない江戸下町風天丼セットはぼくたち皆大ファン。現在も清浄な水が溢れ、遠方からこの水を求める人や周辺の方々を潤しています


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「変形敷地に合わせて無理のない変化が生まれた玄関ホールと居間の接続部分」

下駄箱(靴箱?でしょうね)の戸は、木曽アルテック製、漆塗りの和紙張り、
アトリエM4が制作したお年寄りにやさしいハンドルは、フラットバーと信州産 「はり槐(にせあかしや)」を組み合わせ、鉄を赤めて絹で黒める日本の伝統綿色仕上げをほどこしてあります

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見学会一両日は好天に恵まれて偶然来られたご縁の方々が多く大にぎわい、、自然と人を大切にしていて明るい直志君の人柄がしのばれます。東京から駆けつけた和設計時代の同僚、渡辺さん、地元、青柳さんが会場の案内をお手伝いしていました



直志オープンハウス10.jpg若夫婦寝室の大きな突き出し窓は華奢と機能金物を追求している富山のキマド株式会社製、窓下に、かって松本中心部に引かれて市民に愛された湧水がさわやかな音をたてています

鍛造アルミの照明は前田大作の作品、巾広の厚み40ミリの立派なカナダ杉床材は林友ハウス工業の竹腰さんが探してくれました。やわらかな厚板は本来断熱材で裸足にあたたかく地球にやさしい。このような本物は20年ぐらい経つと輝きだして真価を発揮します

直志オープンハウス12.jpg久しぶりにお会いした青柳さんのお嬢ちゃんは二年生、渡辺さん(旧姓田所美帆さん)は東京で子育て中。初孫を授かった家内と、気持ちのよいキッチンで楽しそうに井戸端会議です


直志オープンハウス04.jpgアトリエM4も特製キッチンシンク、照明、手摺り金物、作りつけ家具造作等をお手伝い、間に合わないんじゃない、、と老婆心小生も楢の自然木テーブルを削りました
直志君のフィアンセ郁子さんもかいがいしくお手伝いです

直志君はじめ、日本の伝統を若者らしい感性で表現するローテク・ハイセンス職人仲間「卯の会」は、松本に移住した当時からの、息子達地元の同級生がメンバー、当日はいい仕事をやり遂げたといったさわやかな笑顔が印象的でした。
その日、静岡にいる弟子石川真帆さんがお施主さんと結婚すると聞いてびっくり、人のつながりを噛みしめた一日となったのです


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お問い合わせ先



2010.01.21

「NIPPON MONOICI ・ふれる、つたわる、つくり手のこころ」新宿OZONで

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片岡鶴太郎さんの表紙絵「小田原の金目鯛」でリニュアルされた自民党発行の月刊誌 「りぶる」 は政治色を感じない女性誌。環境破壊とウオームビズ、中沢けいさんの連載小説、ART、 レシピ、世界遺産、産休、子育てなどが幅広く取り上げられていてNo.335二月号の特集は、キラリ再発見 美しい日本の特産品や伝統文化の紹介です
農林水産物や伝統文化、独自の技術や観光資源など地域活性化につながる資源が日本にも数多くありますが、ここに集まるのは伝統をベースにしながら、とらわれない発想で生まれたニューテイストのモダンデザイン、国の審査認定を受けた現代と未来を生きてゆく美しいものたちです
北海道から沖縄までの「和のある暮らしのかたち」、長野県からはアトリエ・エムフォオが信州カラマツの一年箸と箸置きを出展いたします




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今回出品する一年箸の誕生には「絆」の意味が込められていました
 「やはり家庭を基礎にしないとうまくいかない」 「家庭は小さな議会である・渋沢栄一」 と時代の難局を乗り越えるべく谷垣禎一さんと堂門冬二さんが「人の絆」をテーマに対談されていて、僕たち大家族は心強くなりました。多勢で暮らす悩みと幸せ、僕達が育む森が織りなす美しい風景、安心なものと安全なくらし。今回は早川久美子が会場で作り手のこころをお伝えします。工房から生まれる箸をよろしくおねがいします

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「漆塗り工程・早川久美子」

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(誌上から転載させていただきました)
3月に東京・西新宿で開催される「NIPPONMONOICH_第5回和のある暮らしの力タチ展」
国が進める地域資源活用事業、新連携事業、農商工連携事業の3事業から生まれた製品が集まり、生産者と消費者のコミュニケーションの場となる展示会です
  「中小企業地域資源活用促進法の施行をきっかけに、それまで伝統工芸品だけだった展示から、日本のものづくりをテーマとした展示へと広げました。それに伴 い、名称も 『NIPPON MONOICH』 となったのです」と話すのは、展示会を主催する中小企業基盤整備機構の柿崎実さん。食器、照明、家具、服飾など幅広い分野で、デザイン や使い勝手、斬新さ、二ーズの他、毎日の暮らしに取り入れやすいかなどを基準に、今回は64の企業が出展します。
地域の企業にとっては、販路の開拓などの場であり、消費者の声を直接聞く場にもなります
展示会で出会った企業同士がつながり、商品を共同開発した事例もあります。バイヤーには、東京で各地の逸品がそろう貴重な機会です。消費者にとっても日本のものづくりの奥深さに触れ、さらにそれを暮らしに取り入れる発見の場となります

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「NIPPONMONOICH_第5回和のある暮らしの力タチ展」
2010年3月5日(金)〜3月7日(日)
(5日 12:00~19:00 /6日 10:30~19:00/7日 10:30~18:00)
リビングデザインセンターOZONE 3階 パークタワーホール
東京新宿区西新宿3-7-1  tel_03-5322-6599







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