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前田純一 blog

2013.08.06

「龍」3 平鉋寸八_研ぎ

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13080600.jpg刃物の研ぎは荒研ぎ→中研ぎ→仕上研ぎの順に進めます。台鉋は材料と刃の角度(切削角)が固定されているので通常仕上研ぎ角度=33度(仕込角度マイナス5度)になりますが手が角度を覚えるまでは薄い金属板で定規をつくり、ときどき研ぎ角度を確認します。
僕は刃先線をカマボコ形の曲線に研ぎますが曲線の度合いは直線に近い方から一番(0.3ミリぐらい)、二番、最も曲率が大きい四番(0.6ミリぐらい)と呼んでいてそれぞれのアールが鉋痕仕上げを生みます

大きな平鉋、寸六寸八用の砥石は荒研ぎ、中研ぎ、切刃の仕上げに人造砥石、刃裏の仕上げに天然砥石を使い、刃物の切断と研削、砥石の切断と整形には砥石又はダイヤモンドカッターを取り付けたハンドグラインダー(電動工具)を使います。人造砥石は弟子入り当時から40年ずっとKING製が定番でしたが、3年ほど前から研ぎおろしが速く、摩耗と持ちのバランスのよいナニワ砥石製セラミックワークストーンの#120#1000#3000を気に入って使っています。仕上げ砥は通常6000とされますが#3000はハイス鋼も素早くよく仕上げます


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2013.07.26

「龍」2 鉋の仕立て

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1307261.jpg新潟三条、小吉屋の渡辺さんに龍用の手彫り鉋台を八寸五分勾配でお願いして数ヶ月、立派な白樫柾材包刃口が届きました。入念に表馴染みを合わせて刃口を作り摺漆を数回、40数十年ぶりに龍は陽の目をみてようやく完成、数十年は使える道具ですから僕の最後の寸八になると思います。
台鉋は合わせ鋼の鉋身と樫材の台のコンビネーションによって板を削るもので刃が研げることに加えて台の調子が出せるようになるまでには長い修練が必要ですが、次々と新製品に置き換わっては捨てられていく現代の道具と違い、機械に真似の出来ない手仕事の美しい味わいを生み出す数千年かわらぬしくみは僕の永遠の信頼です

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2013.07.23

「龍」1 弟子入り時の鉋刃

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当時は師のお古の使い頃となった鉋を頂いて修行を始めるのが習わしで、僕は寸六、寸八、長台三丁をあてがわれて父の仕事を見習いました。鉋台がよく乾燥して動きが止まっていて初心者に都合がよい上、このことは刃や台の形や面取りなどの雰囲気から家風と流儀を体得することとなりました。その後三城移住を境に今までの制作にはその後大量生産されるようになったハイス鋼の鉋刃を使ってきました。昨年までもう鉋を新調することはないと思っていましたが、お気に入りがちびて使うことにしたこの刃は、会社を辞めて弟子についた当時父が別格として、いまに仕込むだろうかと僕にあてがった鉋刃、花ともとれる「龍」です。(だと思ってきましたがご存じの方がいらしたらお教え下さい メール  j-maeda@fb3.so-net.ne.jp )

当時名品とされた鉋刃千代鶴が切れないといって父が手に入れたこの刃の醸し出す気品と格調高い銘と材に吸い付くような切れ味は僕の仕事の目標になっていたのですが(千代鶴は削る刃ではなく神棚に供えるものといわれていましたし、贋作もあったと思われます)、切れ味だけを云々すれば市販の鉋刃で十分、しかし鍛冶を天職として人間が一生を投じたという出来事、どのような気持でこの刃を打ったのだろうかと当時の工人の心に思いを馳せ、頭を下げて今夏から使わせていただくことにします。いま手がけているチーク材のミュージックキャビネットと、どちらも鉋がけの難素材、杉水屋白太から先の制作はこの刃で仕上げようと思っています

13072711.jpg世界的に優れているといわれる日本の刃物の最大の特徴は、釜地とよばれる軟鋼の土台と鋼素材を工人がそれぞれ独特に工夫を重ねて鍛造時に硼砂で接着している点で、このことを「合わせハガネ」と呼び、研ぎに労力と時間を費やさない難しい「裏スキ」は刃物が砥石に吸い付いてサッと軽く研ぐことができ、貴重な砥石を無駄に減らすことのない独特の知恵です。
また八寸とは仕込み勾配(鉋台に仕込まれた刃の切刃の角度)が八分 / 37〜38度のことをいいますが刃の巾は6.5cmから6.8cmぐらい、加えて(ややこしいですが)合わせ鉋とは逆目をとめるために考え出された二枚刃の鉋のことをいい、主刃と裏刃を一対に仕込んだ鉋で一説には飛鳥時代から伝わる伝統手工具とされていますが、合わせるとはまるで互いの欠点と長所を補い合う夫婦家族のようだと実に日本的表現ですね
 
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2013.06.20

鎌倉K邸_水屋の制作

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幼なじみのCさんとは父同士が東京宝町時代からのおつきあい、大切にされているいかにも鎌倉らしい古いお住まいには「ちび庵」と名付けられた小間があり2011年に水屋制作のお話をいただきました
伝統は破って新しく作り出すものと無頼漢にも僕は茶道具を敬遠気味に生きてきましたが、とらわれずに自由に日常のお茶をたのしみたいとのご意向に加え、中心となる水屋棚は父が工房兼住まいを東京から移した1970年当時、僕が会社を辞めて弟子について初めて命じられた鎌倉の新居のための制作だったという思いで深いリクエストです
 制作などとはおこがましく、父の描いた図面の難しい骨組み手番をさせていただいただけなのですが、 無駄がなく目にもとまらない父の手さばきにドキドキしながら見習った電動工具のない時代の手作業、すこし厚い(コンマなんミリです・笑)などと指摘をいただいて一年以上もたもたやっていたのではないでしょうか?
 構成がものをいう日本の飾棚の制作には、筥とともに優れた美的要素が必要ですが、厳しい師匠は気長に僕の幼稚な仕事を見守り、今の僕に取り得があるとすればこの時に身についたものと師匠の大きな優しさがようやく身にしみるこのごろ、厳しさからしか生まれない時を超えた美しいものの誕生に関わることができた幸運の感謝と偉大な日本の伝統のおもしろさをみなおしています

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2013.04.28

ミュージックキャビネット_2013

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1800年代にレコード(録音技術)を考えだしたのはエジソン、以来オルゴールに替わってさまざまなかたちに発展しているステレオですが、現代主流の四角いスピーカーは本棚に置くブックシェルフ型と位置づけて工場生産用に考えられたもので、ヴァイオリンやギター、グランドピアノ、トランペットなど手作りの楽器が曲面で構成された形をしているように、昔のエンクロージャー(スピーカーキャビネット)には木を素材に作られて音がよく、またインテリアとしても形が美しくて魅力的なものがあります。
過日銀座で仲間と耳にした後面解放キャビネットと楕円形スピーカーユニットをモチーフに制作している二組のスピーカーは、四角い箱に音を閉じこめないことを前提に機械生産にない張り合いのあるハンドメイド、いままで培ってきた技術と感性の出番です
SP(ショートプレイ)、LP(ロングプレイ)と呼ばれた黒い大きなレコード盤からCD、やがては形の消滅した現代のミュージックソースと、アナログからデジタルとなったアンプなど音をだす道具類のなかでも、空気を振動させて最終的に音を再生する役割を担うスピーカーユニットの原理は人の鼓膜と同じでおそらく永遠にデジタルにならない、むしろコーン(振動板)は昔ながらのパルプ素材がもっともいいとされているので音楽好きの木工屋としては興味津々です。

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試聴中の平面バッフル

東ドイツ製の楕円コーンユニットは音のつながりがよいとされています




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2012年秋 義兄と訪ねた小布施のジャズ喫茶にて

温厚なオーナーは大好きなライオネルハンプトンのリクエストに答えてくれました


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