2009.10.04
作品集_2 欅材厨子「斑鳩」
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「欅材厨子・斑鳩」 2009年製作
高さ25cm 大阪T邸
高さ25cm 大阪T邸










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2009.10.02
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「由縁」栃杢老樹材、前田、みなとみらいのMをモチーフとした象嵌をほどこした彫抜の蓋には遠くに父と南斎がいて、合口覆輪に紫檀材を結界意匠にした指物の身を取り合わせて密鑞で仕上げた作品この年は長女の結婚と個展で構想にあたふたしたのがよき思い出で、作品Mの由縁となっています
象嵌とは作者の心象を象った異素材を意匠とする飛鳥時代から伝わる伝統技法です。作る動機は絵画などと同じ美しいものごとへの憧れです
金工に施した布目象嵌がルーツでさまざまな技法があり、この作品の象嵌は母材を彫りこみ嵌め込むことから「彫嵌・ちょうがん」と呼びます「飾筥」について
箱は「筥 筺 函」と書き表し、硯、煙草など、大切なものを保護する機能から生まれますが、美しい素材と意匠、構成のバランス、卓越した技法が落ち度なく完成された作品は仕舞うという機能を離れて心に訴える装飾品となります。
工芸の世界でこういった作品を「飾筥」といい慣わし、厨子は宗教に関わらず、それらが集大成された筥と僕は定義しています

前田のイニシャルと信州の山を見立て象ったMを意匠にした象嵌材は、一辺12mmほどの真鍮を削りだし金箔張で仕上げ、彫り込んだ栃の木に埋め込みます

このような甲盛り(蓋上面を盛り上がらすかたち)のない蓋は見かけ板厚を厚く作り、重くならぬよう身とのバランスを整えながら裏側を大胆にしゃくります。頂点部分は極限まで薄くぜいにくを取り去り、周辺になるに従いきれいな曲線で徐々に厚く作り込むのが飾筥の作法ですそれにしてもなぜこんな面倒をするかというと七五三に則っての美意識というほかありませんが、僕達の欲求はよく考えてみると不思議なことです
粗彫り > 中仕上 > 仕上げの間、特に栃の木は大きく動きますので安定するまで乾燥室に数度寝かせて豆鉋で最終仕上げに入ります。削りは材料を見るのではなく水平に近い光線を当てて影を追っていきます
上中央は蓋裏隅部の仕上げに使うサンドペーパー仕上げの曲面状のあて木で2mmのゴムを貼ってあるものです。写真のようにまわりに切り込みをいれるとペーパーがうまく馴染みますまた乾燥室中の素材はボンドなどで木口に割れ止めの養生をします・・・・・・・・・・・・・・・・・・


仕事は師から教わるモノでなく盗むものとよくいわれますが、僕は感動することだと思っています
手伝いをさせていただくとみるみるうちに今までなかった形が師の手から出現する
技術も美術も医術も、およそ術の付く仕事は理性だけで真似の出来ない忍術(爆)といえて、美しい樹やかたちや蓄積された技術に接してハートを躍らす感動の蓄積が新しい仕事への目標をもった独特なエネルギーとなるそれで伝統は技術の伝承だけに終わることなく、新たな創作へ結びついていくものと思うのです
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2009.09.29
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茶通箱(さつうばこ)は大切な茶をしまったりする箱で、これは桐杢材と桑材を使い、甲盛り(蓋を盛り上げるかたち)をほどこした印籠造(いんろうつくり)です

箱の構造のうち、印籠造は別名・薬籠造・やろうつくりともよばれ、茶や薬が湿気ないように工夫された身と蓋がすきまなく合わさる構造で、合い口の立ち上がりをやろうとよびます

このような華奢な箱は固めるときに中子が浮いたりゆがまないように注意しますが、僕は角に内側にマスキンゲテープを貼ったアルミアングルを使い、大きめの輪ゴムで締め、直角がくるわないようにのりが乾くまで内法に合わせた四角をはめておきます


「仕上げ道具」馬毛製うずくり 木賊・砥草(とくさ)スコッチブライト・・・・・・・・・・・・・・・・・・「和敬清寂」の清はせいぜいしいこと、寂は華美や騒々しいことがなく、しかも沈んでしまうほど地味でないことと僕は理解していますが、合い口部の桑薄板をさりげない意匠として水屋道具専用の箱にとらわれることのないよう留意しています参考・茶道具は利休好みなど寸法の決まり事があり、廣瀬拙斎というひとのまとめた
寸法録 という本が昔から木工の辞典のようになっています・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2009.09.27
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正方立方体は、余分のない寸法、甲盛り、神経のゆきとどいた繊細な面取り、底すき、てらいのない印象、箱にはじまり筥に終わるといわれる指物の基本とされています



2009.09.25
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民芸の健康な素朴さに魅力を感じていたころ指物の苦手な曲面構成を大胆に試みた作品で、壊れやすい四隅留組部分を補強する錺金物を意匠ポイントとし、栃の虎斑(虎のような模様)材を生かした摺漆仕上げの大らかな曲面によるボリュームと、江戸指物独特の薄い板厚から生まれる軽やかさを両立して、飾筥としての魅力としています。
げす板(取り外しの出来る中板)には銀鍛造の水滴を埋め込み、筆架と墨架は汚れを落としやすい銀製です
げす板(献保梨材)・・・・・・・・・・・・・・・・・・
力のかかりやすい隅丸部(角丸)の板厚を微妙に太くするのは、理にかなった木工芸の作法で、木製建具と共通の伝統意匠です
覆輪(ふくりん・傷みやすい身と蓋の接する部分の装飾を兼ねた異部材)を固い黒檀でしつらえて傷の目立ちやすい柔らかい栃材を保護しています

胴張6、は三味線胴のような身の立ち上がりのふくらみが6ミリの意で、この形はコンパスで描く単純なアールではなく、隅に近づくにつれて曲率が変化しながら滑らかに隅丸と繋がる曲線で、型紙は卵の形のような自然の曲線を手本にベジェ曲線で作成します
また、四隅組み手の加工には直線の基準面がないことから、胴外側部材の形に合わせて作った治具に載せ留台上で鉋で45度に合わせます


この部分の断面の面取りの形は特に重要で、丸みの切り替えのよるめりはりと結界のハイライトラインを強調する繊細な糸面取りがポイントです「七・五・三」の意は、蓋、身、底の関係をいい、見た目と重さ、手取りの(手に取ったときの)バランスを言い表します。
厚板から彫り出すことによって重くなりがちな蓋の裏をベジェ曲面状に抉るのは工芸の筥の作法です。(抉る・しゃくる・削り取ること)
頂部の板厚を6ミリに削り込み周辺部へ向かって徐々に厚く変化させる断面は、無垢板端部の強度を出す必然から生まれた意匠です。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・「契り型錺金具」
離れない意の契(ちぎり)を意匠に取り入れた隅金物は、銀の古美の(ふるび・美しく錆びること)楽しさを生かして錺釘とともに力のかかりやすい隅部分の補強を兼ねた装飾としていますまた手鉋の削り跡を生かし、サンドペーパーを使わずに摺漆を重ねて仕上げています

