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2010.06.15

works_子供の家具_ちこのゆりかご_1

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「チュールのついたクレードル」

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木に囲まれて育つべきである、、と僕は思っていて嫁のおなかが目立ち始めると僕のアタマにさまざまなゆりかごのスケッチが浮かんだが、ゆりかごで育つ10月までは蚊帳が必要だろう、暑くてぐずったら揺すってやりたいと思ったのは母親の胸でそのように育てられた記憶からである

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「オミグルミの養生」 2010年3月

8分に挽き、捻れぬよう治具を拵え5枚まとめてプレスすることにした。立てて乾燥室へ入れたのはより自然で水分が移動しやすいからである。室温30〜35度、毎朝ナットを廻してみると二ヶ月で締まらなくなった。ボルトのネジピッチから計算すると一枚当たりの厚みが4、5ミリ縮んだことになる
当初は日本らしい杉板の香りの漂うスケッチだったが、タイムリーに手に入ったこの樹をどうしても使ってみたくなり、少々乱暴な乾燥の試みはせっかちな江戸っ子気質なのかもしれない
長野の鎌倉材木店三代目が持っていた東北の径二尺オニグルミはサワグルミに比べ緻密で、指物的な軽やかな手取りのよさに向き、しかも柔らかな杉のように扱いに不要な気を使わせない。子供が乱暴に扱っても材に含まれる自然のオイルが将来よい古美に作品を育て上げるだろう。
それにしても西洋でウオルナットと呼ばれて親しまれている胡桃が日本で伝統的に使われてこなかったのはなぜだろうか? 楢や胡桃がもっていた昭和の時代のバタ臭いと表現された感覚が、古来杉や檜の素木を愛した国民性にそぐなわなかったのかもしれない。しかし過去の西洋は、僕の感性のなかでも日本の伝統として変容している

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「ぬめ革を貼った鉄のロッキング」

土に接する革の木口に生漆を吸い込ませ、ミンクオイルを擦り込み防水性を高めて堅牢に作ってある。秋に彼女は身長65センチほどに育ち、この箱はすぐに着替えかおむつ入れかおもちゃ箱になるのだが、鉄製ロッキングは錆びて美しく、嫁にでもかんたんに取り外すことが出来て、床に接する棒材の面取りは伝統的な「タタミズリ」という形をしていて傷になっても魅力を失わない
ちこは本物に触れ、家族の気配と、樹と土の匂いを嗅ぎながら大切な時を過ごし、いつか揺する立場になるかもしれない。あるいはコンピュータ制御のゆりかごが出現するのかもしれないのだが、愛と美というものに寿命はないと信じたい。そうすればこのゆりかごは永遠に彼女の心の中に生き続けてくれることだろう

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「6ミリの鉄を鍛造して弾力を持たせた支柱と真鍮の取り付け部品」
季節柄差し込み式の部品を本体にとりつけて蚊帳をつけることにしました



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「早川久美子さん・藤原 茜さん」

東急ハンズがない松本では、小間物や縫い物素材は楽しいトーカイと決めている。客は手仕事大好き若いお母さんがほとんど。僕などないものねだりの、ヘンなじいさんと映っていることだろう。いずれにしてもふだんの仕事場にはない可愛いらしい素材が店内に溢れている

このようなときの頼みの綱は縫い物達人早川、今年春から工房へ来た茜さんにも手を貸してもらうことになった。
 色が自然で風をよく通すと目論み手に入れたチュールは破けやすいことが判明、再度トーカイで丈夫なものを買い直したり、縫い進むうちたちはだかる疑問に、まつればいいんじゃない?とかプリーツを仮縫いすれば?、展開図を描けばいいんじゃない、、だとか僕にはわけのわからない言葉が飛び出し簡単に考えていた蚊帳制作はただならぬ難しいことがらを数多く含んでいたのが判明した



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ふわっと素敵になどというのはまさにに絵に描いたモチで、隙間が出来て蚊が入る、しわがよる、軽すぎておもりが必要、なまがね交差バイアステープの切り口がきたないなど問題続出。結局再度トーカイへ走ってもらいYKKだの、パッチワーク用色違い生地、失敗して足りなくなったバイアステープなどを入手しなんとか完成にこぎつける。とにもかくにもふだん偉そう小生、彼女達の前にかたなしなのだった・感謝感謝


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「縫製開始3日目、いよいよ佳境」





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「娘が可愛がったディックブルーノを手に入れ家内からプレゼント」


そんなこんなで、ともかく6月14日 なんとか発送にこぎつけた







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蚊帳縫製_06.jpg銀座和光展_2011年
フリッカー.jpgのサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像のサムネール画像のサムネール��


2010.01.14

帯箪笥_松本K邸 2009年

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「入山辺近景」
2007、2008年


古民家、石垣など里山風景が残る入山辺南方にある公民館活動仲間Kさんの敷地で、大町から嫁がれた当時から立っていた桐の木が倒されたのは2005年、2007年に箪笥の制作依頼をいただいたのは、若い頃から集めた着物を整理して、その桐を生かして作った箪笥に帯を仕舞っておきたいというご希望からでした(帯のたとうは既製間口三尺の桐箪笥では余分があり、着物収納用箪笥三尺五寸間口の必要は、モジュールを畳寸法にした在来工法で柱間のおさまりを優先してきた伝統の矛盾です)
 通常伐採した樹は丸太での自然乾燥と製材後の自然乾燥を数年から数十年、近年ではさらに住環境に合わせた人工乾燥をほどこして僕達に加工の番が回ってきますが、分けても桐の樹は表皮がアクで真っ黒になるまで丸太のまま放置し、製材後は立てた状態で梅雨の雨にさらしてさらにアクを抜くという独特の工程を経て、はじめて桐の木独特の軽やかで真っ白な清潔感のある日本の樹らしい優しい味わいになります。(この工程が不完全だと数年後にじわじわとアクがでてきて箪笥が黒ずんでしまいます)
 日本には女の子が誕生すると桐の樹を植え、嫁ぐ時にその桐で箪笥を作った習わしがありましたが、祖の代から80,90年以上は経っていたと思われる自然に芽生えた樹から2008年早春に挽きだした桐板は、高地で老成した目のつんだ味わいが印象的で、寒い製材所で震えながら感動したことを思い出します

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大きな箪笥に和服類がしまわれている代々の古い民家にお邪魔してMさんのお話を伺いながら、都会にいらっしゃる娘さんのお住まいに入る大きさとデザイン、帯収納に特化せず汎用性のある現代的な和箪笥といったイメージスケッチが浮かびました(帯締め、帯留め、かんざしなどの和装小物をディスプレイするはね上げ戸部分は、その後箪笥上に何かを飾る可能性から、ひきだし構造に設計を変更しました)



帯箪笥04.jpg着物を湿気から守るための密閉を特徴とする伝統的な桐箪笥の構造ではなく、軽く引き出せる吊り抽出にしたのは現代住宅の内部が空調されていることからで、筐体と抽出の間のスリットが本体デザインの特徴となりました。引き出しの高さは下にいくに従い少しずつ変化させると風情が落ち着き、番号をふることなく入れ間違いがない伝統作法、デザイン上重要な要素である引き手金物は、マンションなど現代空間にもマッチすることを念頭に息子がデザインしたものです


帯箪笥05.jpg2008年の梅雨、工房の庭で雨にさらしたあと、さらに灰でアクを抜き本体と引出を制作、鏡と呼んでいる前面は信州で育った黄檗を使うことにしました。漢方薬に使われてきているこの樹は数年するとやけて・(古びてきて)雅趣のある味わいになることで知られています


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引き手金物は、錆び_古美が将来の味わいとなることを想定しています
3ミリ厚の真鍮を各部材に切り出し、面取り後に銀蝋で組むことによって交差部に生じる小さな溝を造形上のアクセントにし、Vカット部分を曲げ、隙間に銀蝋を流して補強した後鍛造で成形します。特殊な槌面の地アラシ(ハンマートーン)は手叩きのランダムなテクスチャーを特徴としています


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「12個の引き手金物の制作」

二つほど見本を作って見せてやってごらんと練習させます。いくつかおしゃかにしますが頑張ってどうやら作り上げた浜君。この後の叩き仕上げは人生経験がまだまだ足りないと、若輩には任せられません・汗


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鉋修行中の川上さんに裏仕事(表面に表れない加工)を手伝わせています
「指物の基本は寸分違わぬ真四角・人の基本はやわらかく丸く・笑」
引出の開け閉めぐわいはこれらの仕事にかかっていて人生鍛錬です


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昔は嫁入り道具だったことから、本体と鍵に祝い熨斗を飾りました

美しい伝統を引き継ぎ、今回は寒椿の絵の布に由緒書きを添えて嫁入り支度中です


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お納戸(クロゼット)で三代の歴史が仲良くならびました


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樹の生きた年月とKさんの過ごした年月。それに劣らぬよう心をこめて時間をかけ生まれ出た帯箪笥ですが、将来は娘さんが家族の思い出と共に使ってくださることをうれしく念じながら、新年間近・クリスマスの納入になりました。大切に使いたいとおっしゃる賀状をいただき、僕にとっても2009年最後の心に残る制作となっています



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2010.01.14

帯箪笥_製作工程_真鍮鍛造槌目仕上げ引き手091216

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帯箪笥引き手金物製作工程04.jpg川上三恵子記
【注】商業利用をご遠慮下さい

2010.01.12

指南帳_木工_黄檗、栗など広葉樹の着色目止め一発仕上げ

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通常二回に分ける着色と目止め工程を一回で済ますことにより
部材の色違いを抑え、工程を短縮します

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黄檗材目止め仕上02.jpg
川上三恵子記
【注】商業利用をご遠慮下さい

2009.10.08

時を刻むベンチとブックスタンド_2005年

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「時を刻むベンチ」

2007年松本井上デパート「祈りのしつらいと日々のくらし」展会場にて


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2005年に三台制作した読み聞かせのブックスタンドと合わせた子供と座る小さなベンチです

大きく曲げて制作した背木部の目切れによる弱点を、鉄のフレームの背取り付け部で補強した独特の構造は手の削り跡を生かした自然木の魅力を引き出す結果となりました



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「キャスターのついたブックスタンド」

本の角度調整のために鉄のロッドと組み合わせた真鍮削りだしの金物は工具のトースカンからヒントを得て自製したものです
回転部のぎざぎざ(ローレット)加工には「筋やすり」を使います


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時を刻むベンチ01.jpg
2006年・東京T邸にて




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