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2009.10.07

床暮らしのこころみ・1986年

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「みなとみらい床暮らし」


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「床暮らしのためのしつらい」1990年

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日本人は床に寝ころぶのが好き、、それも雑魚寝

親も子も年寄りも赤子も先生も弟子も友達やご近所も人も犬も、といった生活の中に他者や神・自然への尊重を培ってきた僕達が、貧しさに向かっていた文明の発達や経済成長を優先し、人のためにあると勘違いして地球を汚してしてきたので、人の基本、家族・友人・地域が崩壊し・・国も崩壊しそう・汗


1986年に製作した工房居間のしつらいは隅切L字形。座板のないベンチといったらいいでしょうか・・
鉄の支柱を床に立ち上げて栗材の背もたれをネジでとめて座布団状のクッションを敷きます
脇息(江戸室町から昭和初期まで使われていた)をみたてたアームは寝ころぶと枕になる設計です
、、できればこたつにして皆でわいわい信州の冬を愉しむ、がいいかも、、笑



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三城へ移住した1984年当時娘は11才息子は9才、この居間で子供たちは大人になり、同時に大切な家族_アール、ジョイ、ウイリーたちや松本での新しい友達と過ごした時間を心に刻みました

そして三城での新しい空間は以後十数年、日本の伝統を見据えた僕の発想の場となり、火のある生活など「和の調度・日本のこころ」のテーマにつながっています


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この家具は2000年の娘の結婚のおりに彼等の新生活の家具に作り替えることに、、

その経験からそれまでの常識、ほぞを組むことに加えて仕上げ直しやリユースしやすい鉄に木をネジ止めする分解出来る構造から指物の定義に縛られない勇気が僕に芽生え、しつらいに組み合わせた栃の楕円テーブルはトップに穴や溝を加工することなくA4サイズの直方体の脚部に載せるだけのシンプルな構造になり、縦横に置き変えることで高さを24cmと30cmに使い分ける発想は季節やシチュエーションに合わせてしつらいを変える日本の伝統空間を示唆することになりました。
三城に来てから本格的に制作するようになった家族の過ごす居住空間は、同時に環境が人の内面に与える影響の大きさを再認識することとなっています



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ロハスで豊かな和の生活のヒントとなった床暮らしは横浜に居場所を移し、三城で暮らした犬達がつけた美しい傷跡ととともに、娘達と unico が23年の歴史を未来へつなげています





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2009.10.07

works_ta_din_東京O記念館_1989年

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「東京 O記念館のテーブルと椅子」 
1989年銀座和光個展 「暮らしからの発想」出品作品



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日本工芸会の正会員に認定後 生活に密着した椅子を指物師も作りたいと暖めていた構想のテーブルセットは西洋の椅子を基本モチーフに製作したものです

すべり桟ほぞ組ジョイントの脚部と座板、貫類を楔ほぞで構成した伝統構造、座板はクッションを使わずに栗のむく板を人の体に合わせて滑らかな曲面に彫り込みました


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当時は色鉛筆で方眼紙に図面を描いていました



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「貫類楔ほぞ部分仮組状態」

この後楔を打ち込みます


前田純一作品_1989和光展07.jpg「背板と座板の彫り込み工程」

電気プレーナーの下端面を四方反りに改造して荒取りした後、小鉋でディテールを仕上げます

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前田純一作品_1989和光展05.jpg  和光展覧会場にて

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以後同じ構成で製作したアームチェアー・神奈川S邸にて

2009.10.04

作品集_2 欅材厨子「斑鳩」

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「欅材厨子・斑鳩」 2009年製作

高さ25cm 大阪T邸
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2009.10.02

works_筥 箱_作品M_栃材彫嵌飾筥

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「栃材蝋拭仕上Mの彫嵌の飾筥」

2000年和光個展「ともに年を重ねていく家具」出品作品

みなとみらい長女蔵 (由縁・この年、彼等の結婚記念)

 18cm 13.5cm 高さ6cm


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「由縁」

栃杢老樹材、前田、みなとみらいのMをモチーフとした象嵌をほどこした彫抜の蓋には遠くに父と南斎がいて、合口覆輪に紫檀材を結界意匠にした指物の身を取り合わせて密鑞で仕上げた作品

この年は長女の結婚と個展で構想にあたふたしたのがよき思い出で、作品Mの由縁となっています
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「象嵌・ぞうがん、彫嵌・ちょうがん」について

象嵌とは作者の心象を象った異素材を意匠とする飛鳥時代から伝わる伝統技法です。作る動機は絵画などと同じ美しいものごとへの憧れです

金工に施した布目象嵌がルーツでさまざまな技法があり、この作品の象嵌は母材を彫りこみ嵌め込むことから「彫嵌・ちょうがん」と呼びます

「飾筥」について

箱は「筥 筺 函」と書き表し、硯、煙草など、大切なものを保護する機能から生まれますが、美しい素材と意匠、構成のバランス、卓越した技法が落ち度なく完成された作品は仕舞うという機能を離れて心に訴える装飾品となります。

工芸の世界でこういった作品を「飾筥」といい慣わし、厨子は宗教に関わらず、それらが集大成された筥と僕は定義しています



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前田のイニシャルと信州の山を見立て象ったMを意匠にした象嵌材は、一辺12mmほどの真鍮を削りだし金箔張で仕上げ、彫り込んだ栃の木に埋め込みます


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「蓋の抉り・しゃくり」

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このような甲盛り(蓋上面を盛り上がらすかたち)のない蓋は見かけ板厚を厚く作り、重くならぬよう身とのバランスを整えながら裏側を大胆にしゃくります。
頂点部分は極限まで薄くぜいにくを取り去り、周辺になるに従いきれいな曲線で徐々に厚く作り込むのが飾筥の作法です
それにしてもなぜこんな面倒をするかというと七五三に則っての美意識というほかありませんが、僕達の欲求はよく考えてみると不思議なことです



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「しゃくり」

粗彫り > 中仕上 > 仕上げの間、特に栃の木は大きく動きますので安定するまで乾燥室に数度寝かせて豆鉋で最終仕上げに入ります。削りは材料を見るのではなく水平に近い光線を当てて影を追っていきます




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上中央は蓋裏隅部の仕上げに使うサンドペーパー仕上げの曲面状のあて木で2mmのゴムを貼ってあるものです。写真のようにまわりに切り込みをいれるとペーパーがうまく馴染みます
また乾燥室中の素材はボンドなどで木口に割れ止めの養生をします

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「修行中の息子」2000年

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仕事は師から教わるモノでなく盗むものとよくいわれますが、僕は感動することだと思っています
手伝いをさせていただくとみるみるうちに今までなかった形が師の手から出現する

技術も美術も医術も、およそ術の付く仕事は理性だけで真似の出来ない忍術(爆)といえて、美しい樹やかたちや蓄積された技術に接してハートを躍らす感動の蓄積が新しい仕事への目標をもった独特なエネルギーとなる
それで伝統は技術の伝承だけに終わることなく、新たな創作へ結びついていくものと思うのです


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「参考資料・前田南斎作 四季草花彫嵌飾棚」遠山記念館蔵




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四季の草花を美しく象った、木内省古の銀、貝類の象嵌が内部にも施されています


2009.09.29

works_筥 箱_茶通箱(さつうばこ)

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「桐杢・桑材茶通箱」2008年

茶通箱(さつうばこ)は大切な茶をしまったりする箱で、これは桐杢材と桑材を使い、甲盛り(蓋を盛り上げるかたち)をほどこした印籠造(いんろうつくり)です


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箱の構造のうち、印籠造は別名・薬籠造・やろうつくりともよばれ、茶や薬が湿気ないように工夫された身と蓋がすきまなく合わさる構造で、合い口の立ち上がりをやろうとよびます

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このような華奢な箱は固めるときに中子が浮いたりゆがまないように注意しますが、僕は角に内側にマスキンゲテープを貼ったアルミアングルを使い、大きめの輪ゴムで締め、直角がくるわないようにのりが乾くまで内法に合わせた四角をはめておきます

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「仕上げ工程」

甲盛り、抉り、面取りに使う小鉋
豆際、豆平二種、豆内反鉋


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「仕上げ道具」
馬毛製うずくり 木賊・砥草(とくさ)スコッチブライト



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「和敬清寂」の清はせいぜいしいこと、寂は華美や騒々しいことがなく、しかも沈んでしまうほど地味でないことと僕は理解していますが、合い口部の桑薄板をさりげない意匠として水屋道具専用の箱にとらわれることのないよう留意しています

参考・茶道具は利休好みなど寸法の決まり事があり、廣瀬拙斎というひとのまとめた

寸法録 という本が昔から木工の辞典のようになっています

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