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2009.09.27

works_筥 箱_茶入の筥二種

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「楓材印籠造茶入筥」2007年・素木(しらき) 仕上 

器体を楓材、中子を桑で構成した印籠蓋(いんろうふた)の飾筥で製作直後の写真ですが、変化の浅い楓材に対して時代がつく(時間が経って色が濃く変化する)桑を対照的に使い、将来際だってくるコントラストを楽しむ意匠としています

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「楓材印籠造茶入筥」2007年・摺漆仕上

正方立方体は、余分のない寸法、甲盛り、神経のゆきとどいた繊細な面取り、底すき、てらいのない印象、箱にはじまり筥に終わるといわれる指物の基本とされています


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「甲盛り、面取りディテール」

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「木口台での仕上げ」

平面正方、どの方向へも蓋が納まるよう合わせます




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2009.09.25

works_筥 箱_栃材摺漆仕上硯箱(とちざいすりうるししあげすずりばこ)

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長さ28cm 巾22.5cm高さ8.5cm・伝統工芸展出品作品・明石Y氏蔵

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民芸の健康な素朴さに魅力を感じていたころ指物の苦手な曲面構成を大胆に試みた作品で、壊れやすい四隅留組部分を補強する錺金物を意匠ポイントとし、栃の虎斑(虎のような模様)材を生かした摺漆仕上げの大らかな曲面によるボリュームと、江戸指物独特の薄い板厚から生まれる軽やかさを両立して、飾筥としての魅力としています。
げす板(取り外しの出来る中板)には銀鍛造の水滴を埋め込み、筆架と墨架は汚れを落としやすい銀製です

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げす板(献保梨材)

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力のかかりやすい隅丸部(角丸)の板厚を微妙に太くするのは、理にかなった木工芸の作法で、木製建具と共通の伝統意匠です
覆輪(ふくりん・傷みやすい身と蓋の接する部分の装飾を兼ねた異部材)を固い黒檀でしつらえて傷の目立ちやすい柔らかい栃材を保護しています

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胴張6、は三味線胴のような身の立ち上がりのふくらみが6ミリの意で、この形はコンパスで描く単純なアールではなく、隅に近づくにつれて曲率が変化しながら滑らかに隅丸と繋がる曲線で、型紙は卵の形のような自然の曲線を手本にベジェ曲線で作成します

また、四隅組み手の加工には直線の基準面がないことから、胴外側部材の形に合わせて作った治具に載せ留台上で鉋で45度に合わせます

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「手がかり部分」

身の上部を絞り垂直線との差寸から生まれる蓋のちりを持つための手掛かりとしています


この部分の断面の面取りの形は特に重要で、丸みの切り替えのよるめりはりと結界のハイライトラインを強調する繊細な糸面取りがポイントです

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「七・五・三」の意は、蓋、身、底の関係をいい、見た目と重さ、手取りの(手に取ったときの)バランスを言い表します。
厚板から彫り出すことによって重くなりがちな蓋の裏をベジェ曲面状に抉るのは工芸の筥の作法です。(抉る・しゃくる・削り取ること)
頂部の板厚を6ミリに削り込み周辺部へ向かって徐々に厚く変化させる断面は、無垢板端部の強度を出す必然から生まれた意匠です。

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「契り型錺金具」

離れない意の契(ちぎり)を意匠に取り入れた隅金物は、銀の古美の(ふるび・美しく錆びること)楽しさを生かして錺釘とともに力のかかりやすい隅部分の補強を兼ねた装飾としています
また手鉋の削り跡を生かし、サンドペーパーを使わずに摺漆を重ねて仕上げています





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2009.08.27

厨子金物_井尾建二の仕事

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「厨子金物・斑鳩の厨子2009年」

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「井尾建二氏」
銀座和光_時代をつなぐなかまたち展2009年2月慰労会で


厨子金物の製作をお願いしている三歳年上の井尾建二さんは、日本工芸会金工部会の重鎮。僕が木竹部会に籍を置いていたころからのご縁で鍛金の井尾敏雄氏は彼の父君になる
鍛金、彫金、象嵌など金属工芸分野のあらゆる技法にたける天才だが、仕事に入る前は電通に身をおいていて、僕は家具のインダストリアルデザインに携わっていたことで共通している
東京青山で長く彫金教室を主宰し後輩育成に努めていて、優れた職人が途絶えた現在、僕の期待にこたえてくれる彼のような錺金物師は日本全国で見あたらない

内心仕上がりを心配していたのは、厨子斑鳩は今までの同型のなかで最も小さく高さ25cm、錺金物(機能を伴う装飾性のある金物)も数ミリの精緻な設計だったからだか、依頼後二ヶ月届いた作品は繊細で美しく予想通りの見事な輝きを見せていた

インド中国をルーツとする宝珠(ほうじゅ)、宝相華(ほうそうげ)、唐草(からくさ)、木瓜(もっこう)などの意匠は伊勢神宮の式年遷宮のシステムが関わり、その時代にすでに日本の美しい形の普遍性が確立して現代に継承されている史実は我が国の長い歴史を物語っているが、西洋でも自然界の曲線は神のものと比喩されて定木コンパスでは描くことが出来ないベジェ曲線といわれる国境のない美の構成要素である
余分を捨てて単純になるほどに美しさがエッセンスとなって取り出されたという結果に江戸指物があり、僕の形はそういった伝統をデフォルメして錺りとする装飾なのだが、往々仕事の出来る職人は頑固で依頼者のいうことは聞きいれない
非常に手の込んだ作品を得意とする井尾さんを僕が尊敬するのはその頑固さがないことで、僕の思い描くものを見事に実現して気が効き親切なばかりでなく、はなはだむりな期待にいつも応えてくれているのだが、これは日本の伝統のかたちと技法を父親の姿を見ながら身にまとい、さまざまな発想をうけいれることの出来る自由人だという証しである


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左上・錺蝶番_銀製、線彫、地荒し仕上・巾3cm
右下・定木錺金具_銀製、線彫、地荒し仕上・巾4.5ミリ

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「内掛錺金物」2007年工房で


2009.08.23

みなとみらいのインテリア

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木工家であると同時に子供の住環境を作るのは親としても当然の仕事で、それらが僕の作品のベースになって発展している
実家が超自然なので超都会が家族にとってもいいと、(お陰で赤煉瓦脇のハンバーガーショップのビールは僕の楽しみになった・笑) みなとみらいのマンションの抽選に運良く当選した娘夫婦の2003年の引っ越しに向けて、彼等のこれからに僕は家具を拵えた



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海が見えるか日当たりか、僕は日当たりが絶対とすすめた。彼等の身の丈に見合った価格の面積75平米の小さな南西角4Fにはラウンドした大きな窓がついていた
海は近いが、開発コンセプト「森」が娘達にとってはなにより魅力で、エントランス広場には樹の苗が植えられ、現在は4階の窓に届くまでにも成長し、小鳥達が賑やかに歌うようになり下草も根付いて僕の好きなシダが群生する真夏涼しい住民のオアシスとなっている


「野毛山方面を望む」2005年

この写真の撮影時みなとみらい線はまだ未開通、ダイニングキッチンからは開発中の周辺の空き地が見えていた。僕はセブンイレブンで朝刊を買い、アスファルトを散歩して横浜美術館を通り開店すぐのカフェクリエのモーニングコーヒが何よりの楽しみで、ごく当たり前の都会の朝は、田舎の高原暮らしの僕にとってはありがたい子供からのプレゼントになっている



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「栗材のサークルテーブルとDIVEとフューチャー」

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「サークルテーブルとサークルチェアー」は家具を持たずに三城へ移住した当時、建築用に仕入れた松材の余りで作ったものが原型になり家族円満の願いからのネーミング

直径1メートル20cmの原型をひとまわりちいさく、テーブルトップを日本の食生活に合わせて低くしたが、通常の構造では幕板で脚が窮屈なので、無い知恵をしぼり脚部を45度に組んで自由な膝の動きを実現するデザインとなった


甲板は人の手の痕跡を生かした手仕上げの栗材
今は過ごした時間が美しい傷となっていてこの仕上げは工房の伝統である









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入居後、子供のいない娘達はジャックラッセルのUnicoを飼い、なんと彼のバースディパーティをこのテーブルで毎年開いたりしている・・・笑・・・のだが、結婚記念日などなど、もちろん親類縁者の祝いごとの舞台ともなっている


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その後息子の初作の椅子「DIVE」が加わり、当時の初めての試み、アルミの背の椅子「フューチャー」が増え、アルミのランチョントレイ、家族一年箸、溶銀の箸置、寄木花入れ、面取りのペンスタンドなどなど、うるさい娘にテーブル小物の試作品モニターになってもらうのだが、友人や仕事仲間がわいわい集まっても大勢座れる角のないサークルテーブルは思い思いの大切な歴史を刻んでいる


2009.08.17

音の書斎_ミュージックデスク_其の四(完)

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「音の書斎_MMの家具」 2009年



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8月の連休、家族で完成祝いを兼ねてMMへ



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デッドスペースだった建物のコーナーに合わせ、デスク右側を30度振ってモニターをゆったり置ける奥行きを確保しながら周囲と一体感のあるデスクワークが出来るようになりました
コンピュータ組み込みのものからもうすこし上質な音で音楽を聞きたいとなると、CDや Ipod などからのミュージックソース、ソースを電気的に増幅するアンプ、増幅された電気を音に変えるスピーカーの三要素が必要になるのですが、置き場所はなかなかないものです
放熱を考えアンプを載せる棚板に熱伝導率の高いアルミを使いました

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「手にやさしい 信州カラ松材柾板うずくり仕上のテーブルトップ」

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限られた面積の都会暮らしで置き場所に困るプリンターと、傾斜させて取り出しやすくした本棚をキャスター付のワゴンに収納し、デスク下にしまうデザインにしました

スペアインク、コピー用紙などの保管は乱雑になりがち
何色がなくなったなど、管理がしやすいように奥行きの小さな棚を下部に作ってあります




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食べる寝る集う遊ぶ、、そして自分を耕す知的空間MMの書斎は音楽とドッキングした分解構造、エレベータへの乗り降りを容易にし、清潔感のあるアルミ材の底板がレールを兼ねる吊り下げ式の引き出しは、文房具好きの娘が好きなところへ仕切り板を両面テープで止められるようにしました

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090807n05.jpg今回の試作ではさまざまな材質が音に影響することを楽しみました

柔らかな反射音の音場効果を楽しむ美しいメイプル材の小さな小さなデスクトップスピーカーと、信州の自然に育まれたカラ松材の音響特性を生かして低音を振動させる新発想のステレオは、スーパーウーハー置き場の悩みを解消しながら深夜の小音量でも奥行きの深い豊かな音楽を表現してくれています







090807n07.jpg090807n06.jpg工房の木の床ではボリュームをあげると低音が響きすぎて心配でしたが、コンクリートの空間ではほどよいバランスで品のよい音楽を奏でてくれました
音楽は空間の状況でさまざまに変化しますが、アンプを変えたり部品を工夫してみたり今後は娘婿の楽しい時間となるでしょう





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完成祝いの夕食・横浜大通りにて


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